終わってみれば、松山英樹(東北福祉大学3年)の強さだけが目立った大会だった。最終ラウンドも「全体的に悪かった」という中で4バーディ・ノーボギーの4アンダーパー68をマーク。通算19アンダーパーまでスコアを伸ばし、昨年松山自身が記録した通算17アンダーパーを2ストローク更新するプレーで他を圧倒した。
同じ最終組で回る黒宮幹仁に2度、3打差まで詰め寄られ、松山は「危なっかしいゴルフをしていたので、追いつかれるかも」と不安がよぎったが、黒宮も13、14番で連続ボギーを叩いてしまい、それ以上のピンチは訪れなかった。松山の目標としていた「20アンダーパー」には一打足りなかったが、これで大会史上10
人目の連覇を達成した。
課題も残った。この秋の大きな目標は、アジアアマチュア選手権の3連覇だ。しかし、「今のパッティングでは100パーセント勝てない」と分析している。先週の全米アマに出場して海外の選手との「ショットの精度では引けをとらない」と自信を得たが、「パッティングでは差を感じた」という。今週はパターを何本も試したり、スタンスを変えたり「いろいろ試している」ところだ。「上へ上がっていくための課題なので、克服して上に行きたい」とパッティングをひとつの課題に上げた。
全米アマを挑戦したことで意識が変わったように思える。自身は4オーパーでカットとなったストロークプレーでメダリストは9アンダーパー。その13打差が世界との差を如実に表しているが、日本では松山がトップに立つ選手なのだ。だからこそ、他を圧倒するだけのプレーをしなければならないという意識が芽生えているのだろう。自分が目指すステージは、日本という舞台ではないという自負が、自分を孤高な位置に置くことになり、ライバル達にもそこを目指してほしいという気持ちが、彼のプレーに見て取れるのだ。
大学3年生の彼には、来年大会3連覇のチャンスが残されている。3連覇となると、大学の先輩である宮里優作が2000年から3連覇(2002年まで)を達成して以来(倉本昌弘が1974年から1977年までの4連覇が記録)となる。果たして、1年後に松山がどれだけ成長を見せているか、楽しみだ。
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