ただ一人大会連覇のチャンスを持つディフェンディングチャンピオンの大川重信(大宰府)。
第1ラウンドは10番ホールからのスタートだったが、いきなりピンチが訪れる。セカンドショットでグリーンを外した大川は、ラフから2メートルのアプローチを前に「ボギーを覚悟した」という。しかし、このアプローチショットが直接ホールに沈み、パーセーブとなり、「波に乗れた」という。12番では残り135ヤードを8番アイアンであわやチップインイーグルというスーパーショットでバーディが先行。16番でアプローチミスからボギーを叩いたが前半をパープレーで凌ぐ。
後半は、5番で3パットのボギーがあったが、7番で1.5メー
トル、8番では9メートルのバーディパットをねじ込んで見せた。「このコースはティーショットの安定性が鍵。今日は、ティーショットを殆どミスなくプレーできた」と満足げな笑顔を見せる大川の表情が曇ったのは最終9番ホールを振り返ったときのこと。安定感抜群のティーショットはフェアウェイをとらえ、残りは120ヤードほど。「9番アイアンで、きっちり打つ距離。でも、安全に8番アイアンで軽めに」と思ったこのショットが思わぬミスで、バンカーに。そこから1メートルによせたものの、このパーパットを外してしまい、ボギーフィニッシュとなってしまった。2度のミスでのボギーに「悔しい」と唇を噛むが、「イーブンパーなら優勝のチャンスは十分にある」と、気持ちを切り替えた。
大川は2006年の日本シニアゴルフ選手権にも優勝しているが、その後2~3年は不調に陥ったという。「優勝したことで、自信過剰になってしまったきらいがあって」と、その当時を振り返るが、2度目の連覇のチャンスには気負いはない。「どうしても勝ちたい…とか、絶対に…とかいう気持ちではなくて、リラックスできている。
もちろん連覇を意識はしているけれど、プレッシャーや過度の自信ではなくて、一度優勝しているからという心の余裕がある」と、同じ轍は二度と踏まないつもりだ。6年前に成し遂げられなかった連覇を前に、泰然自若な姿が印象的だった。
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