目の前の対戦相手と1ホールの真剣勝負を重ねていくマッチプレー。前半でリードを奪いながらも逆転負けを喫したり、最後まで粘り強く相手に食い下がりながら、悔し涙を流したり…勝負の綾はどこに転がっているかは、誰もわからないが、勝者の喜びの裏には、必ず敗者の無念が影のようについて回る。
2回戦でメダリストの松原由美(朽木)と対戦した臼井麗香(皐月GC鹿沼)は3and2で敗退。この試合のためだけに半年間、懸命に練習してきたという臼井だったが、松原の壁は大きかった。「松原さんが、すごいプレーヤーなのはもちろんわかっていましたが、今日は自分のセカンドショットがピンに寄らなくて…自分のミスで負けてしまった
と思います。全然バーディが獲れなくて、その時点で負けだと思う」と、悔しがる。1日で2マッチをこなす過酷な日本女子アマに「最後は体力が続かなくて…足がフラフラでスウィングも暴れてしまった。自分の体力不足を痛感しました」と、新たな課題も見つかった。これから1年、ショットの練習はもちろんのこと、地道な体力トレーニングにも取り組み、雪辱を期す心づもりだ。
JGAナショナルチームメンバーの永峰咲希(宮崎大淀)との対戦となった眞尾万理(こだま神川)は、スタートの1番で1upと幸先よくリードを奪うも、5番でオールスクウェアにされると、その後は一度もリードを奪うことが出来ずに2and1で惜敗した。眞尾は3年連続の日本女子アマ出場で、ようやく初めてのマッチプレー進出を果たしている。念願かなってのマッチプレーに、「この後、プロテストを受けるつもり」という眞尾にとって最後のチャンスだった。それだけ思い入れも強かったが、「11番ホールでオールスクウェアに戻せて、12番では3メートルのチャンスがあった。それを外してしまって…それ以後も我慢をしようとしていたのだけれど、13、14番で1メートルのパットを決めきれなくて…自滅に近いです」と悔いが残る最後の日本女子アマとなってしまった。それでも、パッティングの向上という課題を見つけられたのは、眞尾にとって、少しの救いだったのかもしれない。
金澤志奈(水戸レイクス)は、初のマッチプレー進出に「緊張しました。マッチプレーの戦い方もわからなくて、昨夜知り合いに電話でどうすればよいか相談しました」と初々しい。しかし、そんな不安も覗かせず、1回戦の小野祐夢(岐阜県連盟)を1upで下すと、2回戦は、JGAナショナルチームメンバーの保坂真由(東松山)とのマッチアップ。実は、金澤と保坂は同じコーチに師事しており、合宿などでも一緒にプレーする機会が多いという間柄。ホール間の移動の際には、時折談笑する姿も見られたが、本音の部分では「やりづらかった」という。その気持ちが表れたのか、前半で保坂に5upのリードを許してしまう。しかし、後半は12番を取ると、ドーミーホールになった15番、16番を取り返す意地を見せた。結局2and1で樹準決勝進出はならなかったが、「追い詰められた状態から2ホール連続で獲れたことが、すごく自信になるし、ベスト16に入れたことが本当にうれしい」とその表情は満足げ。それでも、「体力面と集中力を持続させることの難しさを思い知らされました」と、今日の2マッチで自分に不足していることも痛感させられたのも事実。高校3年生の金澤は、今後の進路に悩んでいるが、日本女子アマで得た自信と課題を冷静に見つめなおして、焦らずに結論を出すつもりだ。
JGAナショナルチーム候補選手の1人、篠原真里亜(湯布院)は1回戦で工藤優海(ニッソー)を6and5の大差で下して迎えた2回戦。対戦相手は、野澤真央(ライオンズ)。168センチの長身から繰り出される270ヤードを超えるドライバーショットが武器の野澤との対戦は、両者譲らず一進一退の展開となった。しかし、「パットの悪い癖が出て、良いショットを打っても決めきれなかったり、かみ合わなかった」という篠原は、徐々に野澤に追い詰められていく。ドーミーホールとなった18番では、3打目のアプローチを寄せきれず、最後まで流れをつかめないまま2回戦敗退となった。「昨年のベスト8は上回りたかったけれど…」と、悔し涙を見せる。「1回戦では調子が良くて、2回戦もそのままいけるかと思ったけれど、チャンスを決めきれないうちにリズムを崩してしまって…」と、自己最高順位を更新できなかった自分を最後まで責めていた。
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