第2ラウンドを終え通算イーブンパーの25位タイと振るわなかった石徳俊樹(大阪学院大学1年)。
その原因はパッティングにあったという。チャンスにつけながらもパットを決めきれず、悶々とした2日間を過ごした石徳が爆発的なスコアを出したのは、やはりパッティングが決まったからだった。この日の石徳は、1番で2メートルを沈めると、5番で2.5メートル、6番(パー5)では50センチ、9番で3メートルと、昨日まで苦しめられていた距離をことごとく沈めて、前半だけで4バーディを奪う。
後半も10、11番と7メートルをねじ込んで連続バーディ。12番こそこの日唯一のボギーを叩いたが、15番では10メートル、
16番も1.5メートルを決めて、8バーディ・1ボギーの65をマーク。通算7アンダーパーにスコアを伸ばした石徳は、一気に首位と1打差の3位タイに浮上し、初出場初優勝のチャンスが出てきた。「今日は、グリーンに乗せたら、全てバーディチャンスみたいだった。8メートルとか9メートルも普通に入ったし」と、石徳自身も驚きの表情で1日を振り返る。
これほど劇的にパッティングが復調した要因は、些細なことだ。「パッティングのイメージを出すために、素振りのときに右手だけでクラブを握って素振りをしてみたんです。そうしたら練習でいい感じになってきて、そのまま競技中も普段のルーティーンに右手だけの素振りを加えた」のだという。これだけの工夫で、65のビッグスコアが出るのだから、ゴルフは奥が深い。
完璧に思えた今日のプレーで唯一悔いが残るのは、最終18番(パー5)。ティーショットをミスしながら、3メートルのバーディチャンスにつけた石徳に、ふと欲が出る。「自分のベストスコアとコースレコードが65。このパットを決めれば、それを更新できると思ったら…」不思議とこれまで決まり続けたパッティングに狂いが生じた。詰めの甘さを実感させられる瞬間だったのかもしれない。
石徳は、2010年から中国アマチュアゴルフ選手権を連覇し、2011年の日本アマではベスト8入りも果たし、翌2012年には前期JGA男子ナショナルチームにも選考された逸材。小西健太とともに、これからのナショナルチームを背負う選手への成長が期待される石徳だけに、自身初の日本タイトルは是が非でも手にしたいところだ。
|