女子プロゴルフツアー競技も開催されたことがある京葉カントリー倶楽部。プロフェッショナルゴルファーも悩ました難グリーンに、本選手権出場者も手を焼いた。その中で、イーブンパーの72でホールアウトし、首位タイに並んだのが初出場の平澤良雄(日本パブリック協会)と赤間貴夫(岡部チサン)の2人だった。
今年の東日本パブリックミッドシニアゴルフ選手権と全日本パブリックミッドシニアゴルフ選手権を制して本選手権の出場資格を獲得した平澤。186センチを超える長身から繰り出されるドライバーショットは、同年代の選手を凌駕する平均260ヤードから270ヤード。平澤は得意のドライバーショットに加え、「パットが良く入った」というのだから、好スコアも納得がいく。10番ホールからティーオフすると、13番(パー3)でボギーが先行したが、直後の14番でバーディ。16番(パー3)もボギーとし、「前半はパー3のティーショットが左に出て」苦しんだものの37で終える。後半は4番で「上りのまっすぐで読み通り」という8メートルのバーディパットを見事に決める。6番(パー3)でティーショットが右バンカーの縁に止まりスタンスもままならないピンチとなったが、ボギーで切り抜けると、圧巻は最終18番(パー5)。持ち前の飛距離を生かした平澤は、残り230ヤードのセカンドショットを3番ウッドで2オン狙い。このショットをグリーン近くまで運び、バーディフィニッシュで首位タイで第1ラウンドを終えた。「パープレーは上出来です」とはにかむ平澤。強豪たちが苦しんだ難グリーンも「アプローチやファーストパットで1メートルぐらいはオーバーさせて、ラインをしっかり見て返しを入れようと。下りのパットは怖いけれど、グリーンが素晴らしい状態なので、しっかりストロークできれば、パットも決まってくれると…」という大胆な作戦が奏功した結果だった。平澤はゴルフ歴は40年というもののスポーツ歴は少年時代の野球ぐらいと笑う。それでも恵まれた体格と地元である茨城県内に「アスリート系のゴルファーが多くて、お互い刺激し合っている」という環境が平澤のゴルフを支えている。「ベスト10には入りたいですね。明日、大たたきをしないようにしないと」と表情を崩す平澤の背を、仲間たちからの期待と声援が押してくれるだろう。
一方の赤間貴夫(岡部チサン)も好スコアの要因にパッティングを挙げた。10番ホールからスタートした赤間は、12番で7メートルのバーディチャンスを「自分はスライスかな…と。でも、キャディがまっすぐでいいと言ってくれて、それを信じて」打って見事に沈めると、14、15番と1メートルのバーディパットを決めて見せた。16番から連続ボギーを叩いたものの、前半を1アンダーパーで終えると、後半も6番で「1カップぐらい曲がるかな」という3メートルの下りのスライスラインをねじ込んで一時は単独首位に躍り出た。しかし、直後の7番でティーショットを左に曲げて木の後ろに行ってしまう。2打目はティーインググラウンド方向に打って、残り180ヤードの3打目でグリーンオンを狙ったが、力が入ったのか今度は右にミス。このショットも木の後ろについてしまう不運もあって、ダブルボギーを叩き、貯金を吐き出してしまった。それでも、赤間はイーブンパーというスコアに満足げ。「練習ラウンドをしてみて、4オーバーパーでホールアウト出来れば…」という気持ちがあったというから、その気持ちも合点がいく。同じゴルフ倶楽部に所属する小川透や、金本勇らに勧められて競技ゴルフを始めたのは56歳からという遅咲きの赤間は、「日本というタイトルがつく大会自体の出場が初めて」という。それで、第1ラウンド首位タイのスタートに満足というよりも驚きの表情だった。平澤と同様、ゴルフ仲間に恵まれ、切磋琢磨し合う関係の中で技術を磨いてきた赤間。平澤と同様、赤間にもゴルフを愛する友人たちの期待がかかっている。
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