塩田は、「まさか最終組で回れると思ってなかったので、せっかくだからこの緊張感を今日一日楽しもう」と良い緊張感でスタートした。
前半、多くの選手が大きくスコアを崩す中、3オーバー通算4オーバーで折り返す。同組の選手は、宮下が通算6オーバー、西下が7オーバー、首位タイでスタートした同組の山本純子は、6番、8番でダブルボギーを打つなどスコアを7つ落とし、通算8オーバーと大きく崩れた。
後半に入り、このまま塩田が抜け出すかと思われたが、塩田は12番パー5の3打目をダフり、4打目をピン横1.5メートルにつけるも3パットのダブルボギーにしてしまう。すると、「12番のダボでちょっと焦ってしまった
」という、14番のティショットを右の林に打ち込み、このホールもダブルボギーとし、8オーバーまでスコアを落し、宮下と並ばれてしまう。この時、塩田は「ダボ2回打ったのでは、もう優勝はないな。5位狙いで行こう」と優勝をあきらめたという。しかし、迎えた15番で宮下と並んでトップだと伝えられ大きなプレッシャーに襲われた。
15番、175ヤード、パー3、塩田は、「この緊張の中、自分はどんなロングアイアンのショットが打てるのだろうか・・試せるいい機会だ」とこの状況を前向きにとらえ、振り切った4アイアン。ボールは見事芯を食いピン横3メートルのバーディチャンスについた。「あのショットで、気持ちが吹っ切れた」と塩田は、そのホールバーディを逃したが、大きなプレシャーを乗り越え、そのホールボギーとした宮下に1打リードを奪った。
次のホールをボギーとし再び宮下に並ばれた塩田だが、気持ちは落ち着いていた。「宮下さんみたいに手堅いプレーをする選手に競り負けたなら納得」と自分のプレーに集中し上がり2ホールを2パットのパーでまとめてホールアウト。粘る宮下を振り切り、初出場、初優勝の快挙を成し遂げた。
塩田は、プロゴルファーの北田瑠衣や古閑美保と同世代。ジュニア時代は共に日本ジュニアや日本女子アマに出場するなど全国区の選手だったが、高校3年のときに、「ゴルフを続けるなら手に職になる資格をとってから」と眼科医の父の教えにより、ゴルフを離れ受験勉強に励んだ。その後歯科大に進み、見事歯科医師免許を取り一昨年、再び競技ゴルフにカムバックしてきた。現在は、ゴルフシーズン中は、ゴルフを中心に、オフシーズンは、知り合いの歯科医院で勉学に励んでいる。
歯科医師免許をとるまで、ゴルフを全くしなかったという塩田。
最終組でのラウンド、終盤まで縺れた優勝争い。数々のプレッシャーのかかる場面を、前向きに捉え乗り越えることができたのも、ゴルフができなかった長い期間により得た、「ゴルフのできる喜び、感謝」の気持ちが作用したのかもしれない。
今回の優勝で、来年の日本女子アマチュア選手権及び、日本女子オープンゴルフ選手権の出場資格を得た。高校2年以来の日本女子アマ、そして初出場となる日本女子オープン。「どれも本当に出たかった試合、最高のシーズンになる」と塩田。本格的に始動し始めた塩田の競技ゴルフ、どのようなプレーを見せてもらえるか今後の活躍が楽しみだ。
|