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競技報告
【少しの充実感と大きな悔しさを胸に大会を終えた松原】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
松原由美というプレーヤーの魅力のひとつは、吸収力にある。昨年の日本女子アマで4位に入賞すると中学校ゴルフ選手権と日本ジュニアで優勝、韓国女子オープンでローアマチュアを獲得、世界女子アマチュアゴルフチーム選手権の日本代表メンバーにも選考された。そして、今年は日本女子アマでメダリストを獲得するとマッチプレーも順調に勝ち進みランナーアップ。全米女子アマチュアゴルフ選手権では予選会を勝ち抜いて本選出場を果たすと大会史上最少ストロークタイ記録でランナーアップを獲得してベスト32入りし、日本アマチュアゴルフランキング1位となり、日本ジュニアを連覇した。

これだけの実績を積み重ねてきた裏には、それぞれの大会で明確になった課題を次の大会までに改善するよう研鑚を積んできた姿がある。そして、同年代の中では図抜けた国際経験が、自分に不足しているものを身をもって知らせ、さらに底力をつける努力の糧にしている。目の前の形や勝ち負けに拘泥するのではなく、自分の見据えた目標に一歩ずつ歩みを進める。その歩みは、全て彼女の吸収力を滋養にしている。

本選手権で松原は、初めてリンクスをプレーした。最初は強風、硬いグリーン、荒れたフェアウェイに戸惑い、苦しんできたが、1日ごとの目標をクリアして最終ラウンドを迎えた。そして、その最終ラウンドでも「ダブルボギーを叩かない」という目標をクリアしてみせた。1番で1.5メートルのパーパットを外してボギースタートとなったものの3番で20メートルの距離を沈める会心のパットでスコアを戻す。その後も、リンクスにうまく対応してチャンスを作るが、いかんせんパッティングを決めきれずバーディを奪えない。「3番ホールはラッキーなバーディだと思います。その後はバーディパットが入らなかった場面が続いてしまい、気持ちが途切れてしまった」と13番をボギーとすると、15、18番で三度1.5メートルのパーパットを決めきれずボギー。この日の松原は、1バーディ・4ボギーの73。「初めての英国で良い経験が出来たとは思う」と充実感を語るが、それもほんの少しのもの。「悔しい。上位に入りたかった。今日はアンダーパーを出せる内容だったのにスコアがついてこなかった。第1ラウンドの前半にスコアを落としたのがとても悔しいし、これがなければもっと戦えたと思う」と続く言葉は、悔しさばかり。「今日のプレーで内容が良いのにスコアにつなげられないところが自分の未熟さ」そう冷静に自己分析した松原は、新たな経験を積み、自分のゴルフを大きくするだろう。「これから3日間大会があれば勝てる自信がある」その言葉は、この3日間で積み重ねたリンクスでの経験があれば、自分はもっとやれるという自負とすさまじい吸収力をあらわすものだろう。

「うまさと強さは異なると思う。でも、ジュニアの時期に変なスウィングをして試合に勝てても先に繋がらないので、良いスウィングやテクニックを身に付けつつ、試合で勝てるようになりたい」松原に見えている世界は、どのようなものだろうか。順位は不本意なものに終わったが、松原の底知ぬ才能を感じさせる3日間であったのは、まぎれもない事実だ。

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