女子のプロツアー競技に優勝したことで大きな期待と注目を集める勝みなみ(鹿児島高)だが、本選手権に臨んでの目標は、意外なところにあった。
「去年が1回戦に勝って、2回戦では森田(遙)さんに負けてベスト16止まりでした。だから今年は、昨年を上回るポジションまでいく。それを目標にしていました」。
その目標は、あっさり達成できた。ベスト8進出である。
「あっさりじゃありません。1回戦は最後にドタバタになって、本当に負けてしまうのか…と、焦りました」。
相手は西畑萌香(ナパラG一本松)だった。14番までに3upのリードを奪って迎えた15番ホールからのプレーだ。3連続のボギーであっという間にリード
は無くなっていた。18番では決着せずに、マッチはエキストラホールへともつれ込んだ。その19ホール目も、まだドタバタは続いていた。西岡もショットを曲げて二人でピンチを迎えた。結局、勝がボギーで西岡はダブルボギーという結果で「振り切った、というより勝たせてもらったという感じです。助かった、という感じ、ありました」。
30分間のインターバルをはさんでの2回戦。相手は1回戦で優勝候補のひとりに名前をあげられていた堀琴音(兵庫県連盟)を下して勝ち上がってきた西山美希(小田原GC松田)だった。8番まで、マッチはもつれてオールスクェア。流れが大きく動いたのは9番だった。2.5メートルのフックライン。勝のバーディパットが決まった。「やっと、いいストロークができました。“よし、この感覚を忘れないようにしよう”と、そこに注意したら、10、11、12番と、9番からの4連続バーディがきて本来の自分に戻れた気がしました」。
このホールを獲れば勝ちとなる14番もとって5and4の勝利。この勝ちは、勝にとって、ただの1勝ではないようだ。すっかり自信も取り戻させる内容で、ファイナルへの流れまで見えてきたのではあるまいか。「頑張るぞ、ではなく普通にゴルフをすれば大丈夫。そう思えれば…」。
最後は言葉を飲み込んだが、2回戦の9番グリーンで蘇ってきた“あの感覚”が、消えなければいける。確かな手応えが、いま勝の中にある。
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