全米女子オープンから帰国して、本選手権に出場している橋本と準々決勝を争った稲見萌寧(長太郎)は、21ホールの熱戦を演じたものの、最後は橋本にバーディを決められてベスト8に終わった。
稲見はスタートから連続ボギーではやくも2dwonを喫する苦しい展開も、前半を終えて1dwonと粘りを見せる。後半橋本が10番でバーディを奪ってリードを広げにかかるが、11番で稲見がバーディを獲り返して、必死に橋本に食らいつく。12番では稲見が20メートルのバーディを見事に決めると、橋本が下り8メートルのバーディパットを沈め返すなど、両者一歩も引かず勝負は終盤に。稲見は15番でバーディを奪うと、橋本が16番でボギー
を叩き、ついにこのマッチはオールスクウェアとなった。その後は両者パーを続けて勝負はエキストラホールにもつれ込む。勝負は21ホール目。稲見がティーショットを左にミスして、セカンドショットはグリーン手前のカラーに。一方の橋本は5メートルのバーディチャンスにつけた。「ここは入れないと負けると思って、狙って打った」という稲見のパットは、カップの縁を抜ける。それを見た橋本がこの5メートルのパットをねじ込み勝負あり。初出場の日本女子アマでの稲見の目標はベスト32。それが、あれよと言う間に正確なアイアンショットと好調なパッティングで対戦相手を退けて、台風の目となった。「マッチプレーでは自分より上手な相手と戦って、比較をしたい」と話していた稲見。各マッチでも得ることはあっただろうが、準々決勝は特別だっただろう。「全米女子オープンに出場した橋本さんと互角の戦いが出来た。自分がバーディを入れても、彼女が入れ返してくる」と、既に世界を経験してきた橋本の底力に脱帽だが、「結構、満足しています」と、橋本に追いつけそうだという気持ちも持ったのだろう。稲見の次戦は関東ジュニア決勝。「上がいないので、(優勝を)狙っていけるかな」そう笑顔を見せる稲見は、この日本女子アマでベスト8という成績よりも自信という大きなものを得たようだ。
三浦とのマッチアップとなった松田唯里(芦原)は、マッチプレーから本選手権にも参加していた妹をキャディーに二人三脚で準々決勝に駒を進めてきた。今日のマッチでも時折、妹と会話しながら自身最高順位のベスト8更新をかけて必死のプレーを見せていた。「ショットも昨日よりはだいぶ良かった」という松田だったが、初出場で準々決勝まで勝ち進んできた三浦の勢いは止まらない。1番で松田がミスからダブルボギーを叩き先行を許すと、前半で2dwonを喫する。勝負所で得意なはずのパッティングが決まらないのだ。それでも、13番の三浦のボギーで1dwonまで詰め寄った松田。しかし、14番で痛恨の3パットのミスでボギーを叩きこのホールを獲られると、18番も三浦にバーディを決められ万事休した。「14番の3パットが痛かったです…」と一瞬、悔しさをにじませた松田だが、その表情は晴れ晴れとしていた。「今年の日本女子アマは、収穫があってよかったと思う」ベスト4入りは逃したが、松田もまた、負けて大きなものを掴んだようだ。
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