準々決勝では、メダリストの権藤可恋(佐賀)を4and3で下し、準決勝では米国帰りの橋本千里(東名古屋)に1upの勝利を収めた蛭田みな美(石川高)は、本選手権初出場でファイナリストにまで進んだ。
「権藤さんも、橋本さんも好調なゴルフを続けていたらしいので、接戦になると思っていました。自分も好調で、負けてはいないと感じていましたから…」
初の全国レベルの大会でも、ものおじするところがなく、勝負、プレーを楽しんでいる。マッチプレー進出をかけたストロークプレーの第2ラウンドで権藤と並ぶベストスコアタイの65をマークしたことが、自信の裏付けになっている。
学校法人石川高校の2年生。住まいは
福島県東白川郡鮫川村にある。県の内陸部に位置しているため、地震被害も、放射能被害にも合わずにすんだという。「なにしろ、コンビニもないところですから(笑)」
特にパッティングが好調だ。コンビを組んだハウスキャディーとの連携もよく、アドバイスどおりのラインに気持ちよくストロークできている。権藤との準々決勝でも勝負どころのパットをことごとく沈めて、本人の予想を上回る大差でベスト4に名乗りを挙げた。日本女子オープンゴルフ選手権への出場権が決定して臨んだ準決勝。1番で6メートル、2番で2メートルと連続バーディ発進で橋本に先制パンチを浴びせた(2UP)。
3番で橋本に5メートルのスライスラインをねじ込まれて、ひとつ返されたが、続く4番ではそれより長い6メートルの大きく左に切れるフックラインを読み切ってカップ真ん中から決めた。レベルの高い内容のマッチから、流れに変化が起きたのは5番からだった。蛭田のドライバーショットが突然乱れ出してコース特有の黒松に行く手を塞がれるようになった。3ホール続けて落として逆転を許してしまった。14番ホールを終えたところで1dwon。15番でようやくオールスクウェアに戻すと、17番では橋本が3パットのミスをして5番ホール以来のリードとなった。蛭田のドーミーホールとなった18番も着実にパーオンさせて、ともにパーでの決着となった。
決勝戦の相手は佐藤耀穂(埼玉栄高)。「ここまできたら、勝ちたい。いえ、勝ちます」。蛭田には、ちょっとした意地がある。
名前は「みな美」。同じ呼び方の勝みなみが、女子プロツアー競技でアマチュア優勝し「みなみちゃん、みなみちゃん」と脚光を浴びている。それを聞くたびに「私だってみなみよって、気分にさせられるんです。だから、日本女子アマに勝って、アマチュアのトップになってやろうと、密かに思っているんです。あっ、これを言ってしまったら、密かにではなくなってしまいますね。でも、本当の思いだから、ま、いいか…」。
明るい。この性格と好調なパッティングは、決勝戦でも大きな武器になるに違いない。
|