本選手権、佐藤耀穂(埼玉栄高)のキャディーは、父親の弘さんがずっと続けている。競技ではいつものこと? そうではない。実は、初めてのことなのだそうだ。
「高校3年で、これが最後の機会になるかもしれないから、思い切って父にお願いしました」。佐藤は、172センチの長身なのだが、弘さんは、180センチを超える。この大型コンビは、コースでも目立っている。
順々決勝の相手は、勝みなみ(鹿児島高)だった。人気急上昇でギャラリーもメディアも集中している。その勝とのマッチ対決だ。相当のプレッシャーになるはず…。いや、佐藤は、淡々と語った。「マッチプレーには、それなりの戦い方があるといわれますけど、父とも
話しました。ゴルフの基本はコースと自然と自分との闘い。そう思っています。ですから、相手のことは気にせず、自分のプレーに集中する。それだけです」。
プレーも自分のペースで淡々とパーを並べていく。9ホールを終えてオールスクェア。勝負は後半に持ち込まれた。勝のゴルフに、いつエンジンがかかるのか。そんなことを気にするふうもなく、後半も佐藤はパーを続けた。乱れたのは、勝だった。パットが決まらず、10、12、13番とボギーにして、佐藤にホールの勝ちが転がり込んできた。そして、ドーミーホールとなった16番でも勝の自滅で4nad2の勝利が決まった。
「私は、普通にやっただけなのに、みなみちゃんの今日のゴルフは、調子が悪すぎたようですね」。
準決勝も、同じゴルフで通した。「2dwonでマッチが進んだとき(7番まで)は、やられるかな…と、ちょっと不安になりましたが、でも、とにかく自分のゴルフをしようと思って、改めて自分に言い聞かせたら8、9番と連続バーディがきて、オールスクウェアに戻りました。あれで、自分のペースを完全に取り戻せたと思います」。
また、淡々と…。相手の三浦桃香(フェニックス)が、崩れていった。準々決勝と同じ流れになった。「気がついたら勝っていた。そんな感じです」。
中学3年で本選手権初出場。今年は、4年連続4回目の出場になる。マッチプレーには初めての進出だった。昨年は、プレーオフにまでは残ったが、そこで振り落とされてしまった。
「高校生活では、これが、最後の日本女子アマになります。ここまできたら、父親の目の前、いえ、常に隣にいる父に最高の一瞬を見せたいと思います」。
父娘の二人三脚は、最高の結末に向かって進んでいる。
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