首位の松田唯里と3打差の2位で最終ラウンドを迎えた井上りこ(大手前大学3年)。昨年2位に終わったリベンジを期し、1番ホールのティーインググラウンドに現れた。しかし、緊張もあったのか、いきなりティーショットを右にミスすると、ユーティリティーを手にした2打目も右にミス。3打目でもグリーンを捉えることができず、ダブルボギーを叩いてしまう。続く2番ではドライバーショットを左にミスして、アプローチを2メートルに寄せたものの、これを決めきれず、2ホールで3ストロークも落としてしまう波乱の展開となった。それでも、ここから井上が驚異の粘りを見せる。「本選からショットがぶれてしまって…今日もピンチの連続でした。それでも、ずっと耐えていて。頑張って、頑張って…」と17番までパーを積み重ねた。その間、首位を走っていた松田も、ダブルボギーなどを叩く乱調で、17番の松田のボギーで、ついに井上は松田を捉えることができた。通算4オーバーパーの首位タイで迎えた最終ホール。松田がピン手前7メートルにパーオンしたのに対し、井上は3メートルにつける。松田が先にパーをセーブしたのを見てから臨んだ井上のバーディパットは「自分のラインは、易しかった。松田さんがパーだったので、入れて決着をつけたいと…」という気持ちがパッティングのタッチを狂わせた。井上は、バーディパットを1.2メートルオーバーさせてしまい、決めれば松田とのプレーオフとなるパーパットは微妙な距離を残してしまった。
「パットが本当に苦手で…」そんな井上の深い悩みが、最後の最後で重い枷となってしまったのか、井上はこのパーパットを外してしまい、ボギーでフィニッシュ。ホールアウト後、アテストを終えても、井上は悔し涙を止めることができなかった。昨年大会に続いての2位に「1位にならなければ何も残らない。何にもならないとわかっていたのに…」と言葉を絞り出す。
今年は、昨年よりも確実に調子が良いと自覚していた井上。練習ラウンドでは自己ベストスコアも更新して、「本選でも良いスコアが出せると思っていた」と自信を深めて、密かに初優勝を狙ってきた。それが、第1ラウンドから得意のショットが不調。「どうしてなのか…自分でもわかりません」と、苦しい戦いを強いられた。昨年と同じ2位という順位にも、「自分が追い上げての成績。今年とは全然違う。悔しさも…」と涙を我慢しきれず、声を震わせる。日本女子学生は、2年続けて井上に大きな宿題を残した。「パッティング。それと、メンタルの弱さ…」この悔しさを晴らせるのは、これから1年の井上の努力だけにかかっている。最後のチャンスとなる来年、井上は今度こそ喜びの涙を流すことができるか。
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