丸山和美(小倉)は、前半から安定したプレーを見せていた。1バーディ・1ボギーのパープレーで凌いだ要因は、「キャディのグリーンの読みが完璧。自分はその通りに打っただけ」という連携の良さにあった。10番(パー5)こそ2オンしながら3パットのパーに終わったが、12番では「10メートルぐらいはあった」というバーディチャンスを、キャディの「カップ半分スライス。ほぼまっすぐ」という読み通りのラインを描いて決めて見せる。13、14番の連続ボギーはあったが、通算3オーバーパーに踏みとどまり優勝争いのど真ん中にいた。
首位タイに並んでいた宇都宮と近藤がスコアを落としているのを知ったのは、17番だったという
。この時点で同スコアに並んでいたのは、同じ組でプレーしていた平澤。平澤との一騎打ちとなった丸山は、「ここからが勝負」と上がり2ホールで、しっかりとパーをセーブ。対する平澤が最終ホールをボギーとした瞬間、「これで勝てたかと」思った丸山だったが、初優勝に執念を燃やす真鍋が粘りのプレーを見せていた。悶々としながら最終組でプレーする真鍋を待つ丸山。最終ホールで真鍋がボギーを叩き、プレーオフが決まった瞬間、丸山はもう一度気合を入れ直して、1番ホールに向かっていった。プレーオフは、真鍋がボギーを叩き1ホールで決着。1メートルのウィニングパットを前に、「ラインが読めない」とぼやきながらも、慎重にこれを沈めた丸山は、満面の笑みと安堵の溜息をつき、真鍋と固い握手を交わして、お互いの健闘を称えあった。
「真鍋さんの飛距離は凄かった。必死に食らいついただけでした」と全国大会初優勝に喜びの声を残す丸山。優勝杯を手にしてカメラの前に立つ丸山の表情は、どことなく固く、初々しさと優勝ということの大きさに戸惑っているようだった。
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