グリーン上の旗竿が揺らぎ、木々の間をすり抜ける風の音が、波のように聞こえるほどの強風が吹き抜けた第2ラウンド。各選手がスコアメイクに苦しむ中で、出色のプレーを見せたのが、首位と3打差の7位タイにつけていた小久江正人(ホロン)。10番ホールからスタートした小久江は、11番(パー5)でセカンドショットをグリーン手前20ヤードに運びバーディが先行。16番(パー5)でティーショットを右にミスして、2打目が木に当たるトラブルにあい、ボギーを叩いてしまう。18番もティーショットを「少しこすった」と右に曲げて池に打ち込んでボギーとしたが、1オーバーパーで後半に入る。「ショートアイアンの距離感が良かった」小久江は、1番(パー5)で90ヤードの3打目をピッチングサンドでOKの距離につけてバーディを奪ってみせた。4番で3パット、7番では2打目の距離感に迷い、ダフリのミスでボギーを喫したが、2バーディ・4ボギーの74でホールアウトした。
第2ラウンドを終えて単独首位に立ち「自分では大満足」と笑顔の小久江。9番ホール横の鴨池の水面も波立つほどの強風にも「自分には、そよ風ですよ」と余裕のコメント。その理由を「静岡県出身で、練習を積んできた静岡カントリー浜岡コースは、それはもう風が強くて。だから、これぐらいの風なら気になりませんでしたよ」と、明かしてくれた。強さに加え、コース上を舞う気まぐれな風も「風のジャッジに迷うことはなかった」と、見事に攻略した。2011年大会、昨年大会に続いて3度目の日本シニア出場となる小久江。初出場のときは、「練習ラウンドで、今まで経験したことがない高速グリーンに戸惑って、ビビってしまった」と52位タイに終わったが、「雰囲気にも慣れて、落ち着いてプレーが出来た」という昨年は、8位タイに入り、本選手権のシードを得た。
「昨年大会の8位タイは大きかったですね。自分の自信になりましたし、最後まで落ち着いて自分のプレーが出来ましたから。だから、明日も…」と、初めての優勝争いを前に、自然体を強調する小久江。日本タイトルがかかる明日のラウンドを控え、眠れぬ夜を過ごすのか。それとも、最後まで落ち着き払ったプレーで賜杯を手にすることが出来るだろうか。
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