首位を行く髙橋雅也とは6打差。通算イーブンパーの4位タイにつけていた二宮慎堂(今治)は、1番(パー5)でピン奥から3メートルのパットを見事に決めて、幸先よくバーディを奪う。その後は、スコアカード通りのプレーで前半を1アンダーパーで終えたとき、二宮はある確信を抱いた。「前半の9ホールは、すごく苦手なんです。そこをアンダーパーで凌げて、これで後半は絶対にアンダーパーを出せる」と意気込む。目標は、「通算5アンダーパー」。ここまで伸ばせれば優勝争いに加われると踏んでいた二宮は、得意の後半で猛チャージをかけた。10番でバーディを奪うと、12番でもスコアを伸ばす。しかし、惜しむらくは13、14番(パー5)
の2ホール。「13番は1.5メートル。14番は2オンしたのに3パットのパー」とチャンスをものにできず、15番でボギーを叩いてしまう。それでも、最終ホールをバーディで締めた二宮は、目標に2ストローク足りない通算3アンダーパーでホールアウト。この時点では、優勝など夢のまた夢だったかと思うが、しかし、髙橋もスコアを落とし、優勝争いは、プレーオフで決することとなった。
このプレーオフ、二宮は仄かな自信を持っていた。「実は、プレーオフでは一度も負けたことはないんです」と、この3日間同様、距離の短い18番はドライバーでティーショットを放っていった。1ホール目のティーショットは右サイドの池の先にある木に当たってフェアウェイに戻る幸運もあって、両者パーで分け。2ホール目、再びドライバーを強振した二宮だったが、これも右に大きく曲がり、万事休した。地元四国での本選手権開催に最終ホールとプレーオフでは﨑山俊紀や家族、ゴルフ仲間が二宮の優勝を願いそのプレーを見守っていた。
その期待にこたえきれなかった悔しさをかみ殺し、「本当に満足しています」と、笑顔を見せる二宮。「第1ラウンドでパットが全然入らなくて2オーバーパー。実は、ホールアウト後に寺西明さんにアドバイスを貰ったんです。そうしたら、昨日は70で今日は3アンダーパー。このスコアも寺西さんのお蔭ですよ。後で、寺西さんにお礼を言わなくちゃ」と屈託なく話す姿に、誰からも愛される二宮の魅力が現れているように感じた。
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