16歳のアマチュア、橋本千里が快挙を果たした。今年の女子プロツアーを席巻するアマチュア旋風が、初めての日本開催となった全米女子オープンゴルフ選手権セクショナルクオリファイングでも吹き荒れた。日本女子アマチュアゴルフランキング1位の森田遥、同2位の松原由美、さらにナショナルチームメンバーの野澤真央や小野拓夢らが注目される中、橋本は伏兵ともいえる存在だった。第1ラウンドは、3バーディ・5ボギーの74で25位タイ。予選突破は誰もが無理だろうと思っていた。それでも、橋本自身は自分の力と運を信じていたのだろう。会場の東名古屋カントリークラブは、自分のホームコース。勝手知ったるコースでの最終予選開催に、出場を決意した。その運を最大限に生かすように第2ラウンドの橋本は、一気にスコアを伸ばす。前半のハーフで4バーディを奪うと、徐々にギャラリーの視線も151センチの小柄な橋本を追い始める。後半も3バーディ・2ボギーにまとめた橋本は、この日のベストスコア67をマーク。通算3アンダーパーまでスコアを伸ばして、プレーオフの6人の中に滑り込んだ。こうなれば、勢いは止まらない。1ホール目で無難にパーセーブをして、16歳のメジャー挑戦が決まった。
同学年には、先の女子ツアーで史上最年少優勝記録を更新し、一躍、時の人となった勝みなみがいる。勝とは中学1年のときに日本ジュニアで一緒になって仲良くなり、SNSで連絡を取り合う仲だという。友人の快挙に加え、今年のアマチュアの活躍に刺激を受けて「自分も頑張ろう」と思っていたという。
橋本は中部ジュニアでの優勝はあるが、全国大会ではまだ未勝利。2012年には日本ジュニアで2位入賞があるが、松原の陰に隠れてしまっていた印象が強い。勝と松原。同学年の2人は、これまで橋本の先を走っていたが、メジャー挑戦では、その2人を見事に逆転した。新たな新星の出現に、ゴルフ界はまた話題が沸騰するだろう。その沸騰は、きっと16歳の6月を熱く忘れられないものにするはずだ。2人のライバルが経験していない舞台で、橋本が何を持ち帰るのか。全米女子オープンの楽しみが一つ増えた。
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