今年21歳になる同級生の城間絵梨と渡邉彩香。親友ともいえる間柄の2人が揃って初の全米女子オープンの切符を手にした。
第1ラウンドでリードを奪ったのは渡邉。6バーディ・2ボギーの4アンダーパーは2位グループに1打差ながら単独首位。本選出場権獲得に大きく前進したと思われたが、後半のラウンドは苦しんだ。スタートから連続ボギーなど、最初の9ホールで1打スコアを落とすと、後半も2バーディ・2ボギーとスコアを伸ばせず、通算3アンダーパーでホールアウト。首位通過から一転、6人で4枠を争うプレーオフにもつれ込んだ。
一方の城間は、渡邉に1打差の2位グループで第2ラウンドをティーオフ。しかし、渡邉と同様5バーディ・5ボギーの出入りの激しいゴルフでイーブンパーでホールアウトし、通算3アンダーパー。こちらもプレーオフに臨むこととなった。
その1ホール目。城間がパーをセーブして、本選出場権を獲得したのに対して、渡邉はボギーを叩き、同じくスコアを落とした野澤真央とプレーオフは続く。その3ホール目。12番(パー3)でドラマが待っていた。ティーショットでグリーンを捉えられなかった渡邉に対して、野澤は手堅くパーオン。絶体絶命のピンチに陥った渡邉だったが、ここでシーズンオフに取り組んだアプローチが冴える。自身ツアー初優勝を決めた瞬間がよみがえるかのようなチップインバーディで本選出場最後の5人目の枠に滑り込んだ。
「最後のバーディは、グリーン奥10メートルぐらいでした。パターで打ちたかったけれど、ライン上にスプリンクラーがあって、仕方なくウェッジで。アプローチに気持ちを切り替えたことが出来たので良かったです」と満面の笑み。「アクサのときのイメージもあったけれど、今回も良いイメージで打てた」と日ごろの練習の結果、自分の武器である飛距離を生かす小技の技術と自信を手に入れた。初のメジャーは「目標としていたので、嬉しい。初めてでわからないことだらけだけど、自分らしさを出して頑張りたい」と初々しいコメントを残した。
プレーオフ1ホール目でメジャーの切符を手にした城間は、そのままギャラリーとして、渡邉のプレーを見守った。渡邉とともにメジャー出場できることに「めちゃ、嬉しい」と喜びを爆発させる城間。
2人は、2009年に渡邉がナショナルチームメンバー、城間が候補選手としてともに合宿などで汗を流している。渡邉が日本ジュニア12~14歳の部で優勝して注目を集めると、城間も日本ジュニア15~17歳の部で優勝。ともに切磋琢磨しながら全国大会を制してきたが、渡邉は城間のほんの少し先を歩いてきた。プロ入り後も、昨年からツアー競技で頭角を現し、今季初優勝を遂げた渡邉に対して、城間はなかなか自分のゴルフを確立できずにステップアップツアーを主戦場としている。その城間は、「自分のゴルフがやっと見えてきたような…一度は、もういいやという状態にもなりました。自分の武器はドライバーだと、変な意識があったと思う。自分のゴルフを見つめると、グリーン周りのミスとか結果にこだわりすぎて、完璧を求めすぎていた。メジャーでは自分のゴルフを見せたい」と、ようやく光明が差してきたようだ。
ともに飛距離を武器にジュニア時代を駆け抜けた2人は「メジャーで自分のゴルフがしたい」と口をそろえる。紆余曲折がありながら、ともに成長を続けてきた実感は、プレーオフを戦え終えた後にカートに同乗してクラブハウスに戻ってきた2人の充実した表情が物語っていた。そして、もう一度2人が同じ舞台で戦える幸せが、メジャーという晴れ舞台であることを喜んでいるのは、誰よりも渡邉と城間の本人たちだろう。
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