三木逸子と花井正子は、ともに昨年大会を思い返したことだろう。三木は、逆転優勝の再現を。花井は、首位タイスタートからの逃げ切り優勝の実現を。しかし、両者とも、その思いは叶えられなかった。
三木は、2番(パー3)でボギーが先行するも、持ち前の飛距離を活かして5番(パー5)で2打目をグリーン奥まで運び、アプローチを寄せて難なくバーディを奪い、スコアを戻す。しかし、8番(パー4)で落とし穴が待っていた。3打目は、ライが悪かったのか「インパクトの瞬間にヘッドが小石に当たった」ようで、グリーンに届かず。次のショットをバンカーに打ち込むなど不運とトラブルが重なり、まさかのトリプルボギーを喫してしまった
。「今日は、アイアンショットの縦の距離感も合っていた」と後半、粘りのプレーで2オーバーパーにスコアをまとめたものの、優勝の中田には1打及ばず、無念の2位で大会最多優勝記録の更新はならなかった。「調子は決して悪くなかった。良かったぐらいです。でも、自分のプレースタイルとこのコースの攻め方をアジャストすることが出来なかった」悔しさをかみ殺しながら語る三木。しかし、表彰式では、隣に立つ優勝を争った中田を心から祝福する三木の姿があった。大会6勝を誇り、誰もがその強さに舌を巻くが、三木がプレーだけでなく崇高なスポーツマンシップを持つ真のアスリートの一人であることを感じさせる表彰式だった。
花井は、2年連続で首位スタートの原動力となったショットの冴えが全く見られなかった。昨年は前半で2つのトリプルボギーで失速。そのリベンジが期待されたが、内心は「今年も首位スタートか…」と最終ラウンドの暗転を予期していたかのような少し重さを感じるものだったという。1番こそ幸先よくバーディを決めたものの、2、4番でボギーを叩く。5番はダブルボギー。7番からは4連続ボギーの後に2つ目のダブルボギーと、スコアを作ることが出来ず、84と大きくスコアを落としてしまい、昨年大会のリベンジはならなかった。「今日は、本当にショットが悪すぎて。左へのミスに思ったより距離も出てしまって、林の中や木の下ばかり…ゴルフになりませんでした」と疲れの見える表情で苦戦のラウンドを振り返る花井。「来年は、首位で最終ラウンドをスタートするのではなく、逆転優勝を狙います」そう自嘲気味に話す花井だが、2年連続で首位に立った実力は、まぎれもない事実。優勝に届きそうで手が出来ない辛さを、来年大会で晴らせるか。花井の実力を最後まで存分に発揮できれば、来年こそは…と期待させる。
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