5番アイアンのショットが、いきなりピンそば50センチについた。グリーンに落下したボールが小さく2回はねてギュギュっと止まるアイアンらしいショットだった。本選手権注目選手のひとり、新垣比菜(カヌチャG)のスタート10番ホールの1打であった。新垣は、この1打で「今日は、大丈夫そうだ」と、確信に近い手応えをつかんでいた。
70と「伸び悩んだ」(新垣)の第1ラウンド。ホールアウト後はドライビングレンジに足を向けていた。「アイアンショットがしっかりつかまらずに、コスリ気味になっていたので、修正しておきたくて…」という理由からだった。1時間ほど打ち続けた。「私の悪いクセなんですけど、フィニッシュまで
力が入りっぱなしになりがちなんです。フォロースルーの途中から脱力して楽なフィニッシュがとれるようにチェックしました」。
その成果は、第2ラウンドスタートホールの第2打が如実に物語っていた。15番(パー4)でも1.5メートル、18番では4メートルとアイアンショットでチャンスを作り出し、確実にバーディにつなげた。1番にターンして2番では「4メートルの下りラインを狙いにいって3パット」というボギーにしたが、4番で1メートルにつけて取り戻した。
この1年間は、飛距離を伸ばすことをテーマに練習に取り組んできた。昨年よりも明らかにスウィングがシャープになり、実際に飛距離アップも果たしている。マッチプレー進出者を決める2日間のクォリファイングラウンドは通算5アンダーパーだった。
「通過できたので安心しましたけど、内容的には悔しさの方が大きいです。もっとスコアを伸ばせたと思います」。
ステップアップツアーながらプロを抑えて優勝した実力を十分に発揮し切れなかったという思いが、マッチプレー進出の喜びを押し包んでしまっているようだ。
昨年に続いてのマッチプレー進出。昨年は1回戦で敗退している。
今年は?
「ひとつずつ勝ち上がっていって最後まで残り、優勝したいです」。
目標は、女子アマの頂点。高校2年生の大型プレーヤーである新垣は、目標も大きい。
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