昨年大会は中学生でマッチプレーに進み、ベスト8に入って本年度大会のシード権を獲得した。高校生になった稲見萌寧(長太郎CC)の本選手権は第1ラウンドが67、第2ラウンドも69と60台の好スコアを並べて通算8アンダーパー。堂々のメダリストとなって2年連続でのマッチプレー進出を決めた。
ピンチで動揺することがなくなった。それが昨年と一番違うところだという。「ミスしても、ホールアウトするまでのどこかでカバーできる気がするんです」。2バーディで折り返した1番では、こんなシーンがあった。ティーショットを左バンカーに打ち込み、第2打もグリーン左のバンカーに。そこからあわやカップインの5センチに寄せて何
事もなかったかのようにパーをセーブした。3メートル前後残したパーパットもなんなく沈めて表情ひとつ変えずに次のホールに向かう。こんなことが何ホールあっただろう。
稲見の精神面を鍛えさせたのは、今春の女子ツアートーナメント、ヤマハレディースでの経験だという。初めてのプロトーナメントで「もう、これ以上ないほど緊張して、息をするのさえ苦しくて、ティーショットでもバックスイングが上がらなくなっていました。あのときは死ぬかと思いました(笑)。でも、緊張は、あの会場に全部置いてこれたようで、以来、“あれに比べれば…”って、開き直れました」
メダリストも意識することなく、スコアも考えることなく、目の前の1打に集中し、打ち終わったらリラックス状態に戻す。その繰り返しで、「結果的にメダリストになっていました」。
中学生だった昨年と身長、体重とも変わっていない(165センチ)。筋肉はついた。その分、飛距離も伸びている実感があるという。
マッチプレーでも「緊張することはないと思います。そんなに打たない(崩れない)と思っていますので。はっきり言って自分はプラス思考です。普通にできればいいし、ピンチになっても、もう一人の自分がなんとかするだろう…と、そんな気持ちで戦いに臨みます」
メダリストになったことで、日本女子オープンゴルフ選手権への出場権を与えられた。この高校1年生は、いま、大きく飛び立とうとしているように感じる。
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