「このショットで、ここまでこられたことに自分でも驚いています」
開口一番、こうもらしたのはディフェンディングチャンピオンの蛭田みな美(学法石川高)だった。
「1回戦も、2回戦もショットが左右にぶれて、いつ負けてもおかしくないというぐらいの内容ですから」
そのショットの乱れをカバーしていたのが、アプローチショットとパッティングだった。1回戦で吉本ここね(JGAジュニア会員)を2and1で際どくかわして臨んだ2回戦は、新垣比菜(カヌチャG)との対決となった。
このマッチは、とられたら取り返すというシーソーゲームのような展開になった。1番で新垣が先行すれば、蛭田が5番で並ぶ。6番でまた新
垣が1アップとすると続く7番ではまた蛭田が取り返してオールスクウェアに。こんな流れは、まだ続く。9番で新垣1アップ、10番でオールスクウェア。11番で新垣1アップ、12番でオールスクウェア。13番でまたまた新垣1アップ、15番で蛭田が並ぶ。ここまでは、どちらかといえば新垣に分のある流れでもあった。なにしろ、蛭田には一度もアップするシーンがなかったのだから。
15番で5度目のオールスクウェアとしたところで蛭田のショットに光が射し込んできた。5番で10メートル、12番で7メートル、15番で5メートル。少ないチャンスをロングパットを沈めることでものにし、ピンチを脱する。粘りのゴルフを続けていて終盤で、ショットが蘇った。
16番(パー3)で3メートルにつけてバーディパットも決めた。このマッチ、初めて蛭田がリードした。そして17番をともにパーで分け、迎えた18番ホール。蛭田の8番アイアンでの第2打は、ピンそば50センチにピタリとついた。
新垣も最後に意地を見せる。右ラフから2オンさせて5メートル。これを沈めてバーディとしてみせた。しかし、蛭田の50センチは、あまりにも近すぎた。あっさりウィニングパットを決めてシーソーゲームは蛭田の1アップで決着した。連覇に向けて大敵をひとりくだした。
やや優勢にゲームを進めながら惜敗した新垣比菜は、勝負の決着後、その足でドライビングレンジへ。1時間近くショット練習をしてようやくクラブハウスに戻ってきた。「残ったのは、口惜しさだけです。1アップはできたけど、2アップ目が遠かったですね。蛭田さんとの対戦ということで苦しい展開になるのは覚悟していましたけど、とったら取り返される流れで、最後は蛭田さんに流れがいってしまいました。もっと、もっと練習します」と悔しさを練習で晴らして、会場を後にした。
|