本選手権の稲見萌寧(長太郎CC)は万全なプレーを見せてきた。クオリファイングラウンドでは、隙を見せない完璧なプレーで通算8アンダーパーをマークしてメダリストを獲得し、早々に10月に石川県の片山津ゴルフ倶楽部・白山コースで行われる日本女子オープンゴルフ選手権の出場資格を勝ち取ると、昨日のマッチプレー1、2回戦も対戦相手を圧倒する強さで、準々決勝に駒を進めた。
メダリストの特権でもあるトップスタート。もちろんこの日も誰にも踏まれていない万全のコンディションに整えられたコースに向かって1番最初にティーショットを放ち、颯爽とフェアウェイに向かって小走りする稲見の姿は、昨日までと何も変わらないよう
に感じられた。しかし、山内日菜子との対戦となった準々決勝では、これまでとは何かが違った。5番で山内にリードを奪われると、途中オールスクウェアには戻せるものの、一度もリードを奪うことが出来ない。思い切りの良さが魅力でもある稲見は、徐々にショット前の決断に迷いが生じたのか、クラブ選択やショットの始動に普段より時間がかかっていると感じられた。15番のボギーでリードを奪われると、そのまま最終ホールへ。ともに2オンしたものの、ピン手前の傾斜を下った稲見の方が山内よりも距離が残り、先にバーディパットを打つ。決めなければ追いつけない土壇場で、稲見は強気にこのパットを打ったが、無情にもカップの横をすり抜け、返しも外してボギー。パーセーブした山内が2upとして、稲見の敗戦が決まった。昨年よりも確実に自分が成長していると実感して迎えた本選手権だが、またもベスト8の壁を破れず、山内がパーパットを沈める前から、自然と悔し涙が頬をつたった。
「今日は、パッティングが良くありませんでした。最初、2番で2メートルのバーディパットを外して、3番で1メートルのパーパットを外してカバーできませんでした」と序盤を振り返る。「今日は、自分のミスで負けたのが悔しい」昨日までの好調が嘘のように消えてしまうゴルフの難しさを改めて思わされた1日だったろう。
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