準々決勝でディフェンディングチャンピオン蛭田みな美(学法石川高)に「パッティングが本当に上手い。4、5メートルの距離を確実に沈めてくるのに驚かされました」と舌を巻かせた王天妤(六甲CC)の安定したストロークは、準決勝でも最大の武器になっていた。
L字マレットのパター。もう3年も愛用し続けている。グリップだけは、1年ほどまえに太いタイプに替えた。「私は、手が大きく指が長いので、細めのグリップだと手が余っているような気がして…」太いタイプのグリップでストロークは、一層安定するようになった。ゆっくりと大きめのパターヘッドの動きで、ボールを静かに転がしていく。いかにもラインに乗りやすそうな穏やかな打
ち出しと転がりでカップに沈んでいく。
準決勝の山内日菜子戦では、淡々とパーを重ねていった。準々決勝のときほどカップインしていくシーンはなかったが、危なげなくタップインできるところに置いて相手のパットを待つ。
ピンチに動揺する風でもなく、パットを決めても表情を緩ませることもない。淡々と、穏やかにマッチを進行させていく。このあたりは、香川県の高松中央高の先輩で2013年大会の勝者、森田遙のプレーぶりを彷彿させるものがあった。
王のプレースタイルに、山内は独り相撲をとらされているような展開になっていった。
「準々決勝は自分のゴルフができていたのですが、準決勝では自分のミスで相手を流れに乗せてしまった」(山内)というのが、その展開であった。前半の9ホールは王の3アップで後半にターンしていった。13番で王のパーに対して山内が、またボギーで王に4アップ目を献上してしまった。ここから2ホール連続アップで意地を見せたが、16番(パー3)も、このマッチを象徴するかのように王のパー、山内のボギーで結局3and2での決着となった。
王は初出場で、決勝まで進み、「この大会では、ずっと自分らしいゴルフができている」とここまでの流れを振り返った。きっと決勝36ホールマッチでも、穏やかで淡々としたゴルフが続くのであろう。
敗れた山内は「決勝でないのはちょっと残念ですが、どんな勝負でも勝ちにこだわりたいので、3位で終わりたいです」と、18ホールマッチの3位決定戦に臨む。
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