長谷川祥平(大阪学院大学4年)が大学最後の年に悲願とも言うべき「日本」タイトルを手にした。「優勝自体久しぶりなので、うれしいです。優勝争いは多かったんですが、2位や3位とか1打差で優勝を逃したりして、でもその経験が活きました」と喜ぶ。
この日は首位を1打差で追う形でスタートし、前半を4バーディ、1ボギーの3アンダーパー32で回り、ハーフターンした時点では通算3アンダーパーで首位に立った。「前の組の(比嘉)一貴が1アンダーパーということもわかっていて、彼なら後半3アンダーパーくらいなら出るかもしれない」と通算4アンダーパーを優勝ラインに想定していた。長谷川は14番でバーディを奪い、そのスコアに到達する。そして最終18番。6メートルのバーディパットを沈め、通算5アンダーパーとした。大きなガッツポーズ。しかし、このとき前の組の比嘉が通算4アンダーパーでホールアウトしていたことは知らなかった。結果的には、このバーディにより1打差で優勝を遂げた、値千金のバーディパットとなった。
舞台となった大利根カントリークラブ・東コースは、「左から木がせり出しているところが多くて、フェード系の僕にとっては打ちにくい」ことからこの4日間でティーショットでは「1日3回か4回くらい」しかドライバーを使わなかったという。「2日目の前半までは左を嫌がって、右の林に入れ」るミスが多かったが、「2日目の終わりから感じがつかめてきて、3日目からは安定していた」プレーが勝因かもしれない。
「ずっと競っていて緊張感の中でも落ち着いてできていた」という。これもこれまでの経験が活きたということだろう。かつてアマチュアの球聖ボビー・ジョーンズは「私は勝った試合からは何も学んだことはない。負けた試合からこそ多くのことを学んだ」と言った。まさにその言葉通りだろう。長谷川はジュニアの頃からその才能を買われており、周囲からも期待されてきた。でも「ジュニアの頃はまだ実力もなかった」と期待されながらも、日本ジュニアなどのタイトルには手が届かなかった。それだけに喜びもひとしお。
この優勝でアジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップの出場権を獲得した。開催コースは大利根カントリークラブの西コースになる。「2年前の日本オープンの予選で回ったことがあります。東コースより自分のゴルフにあっているので回りやすい」と上位が期待される。
現在大学4年生ですでに来年のツアー参戦を見据えてファーストクォリファイングトーナメント(QT)を受けた。次はセカンドQTだ。将来は「メジャーで勝つこと」が大きな目標となる。だがその目標を「見据えながらも、まだまだしっかりやることをやって大事にすごして行きたい」と浮き足立つこともない。地を見据えて、この優勝をステップに、一歩一歩進んで大きな選手になってもらいたい。将来が楽しみだ。
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