日本シニアゴルフ選手権3年連続出場の岸本伊和男が首位タイと大健闘を見せた。「苦しいスタートだった」と苦笑いを見せる岸本の言葉通り、2番(パー5)は4メートルのフックラインをねじ込んでパーセーブ。その後も7番までスコアカード通りのプレーを続けるうちに、「もしかしたら、今日はいけるかも…」と思い始めたという。8番(パー5)で今度はしっかりとバーディを奪うと、9番はアプローチを寄せきれず、下り傾斜の1.5メートルのパーパットを外して、ボギー。しかし、このボギーが第1ラウンドで岸本が叩いた唯一のボギーだった。後半12番で1.5メートル、16番も下り5メートルを沈めて、パー5でしっかり2バーディを奪って首位タイスタートを決めた。「上出来です」開口一番、そう話す岸本の本選手権最高順位は昨年大会の30位タイ。「僕が全国大会に出場して、良い順位で上がれるなんて…」と、恐縮の表情。
岸本は、自らを「気が小さいんです」と笑う。だが、その慎重さが、「この大会では、パー5で無理やりドライバーを使うことはやめようと。時には3番ウッドでティーショットを打っていくことにしている」と、自分のコースマネジメントにうまくつながった。その証拠に、16番(パー5)は3番ウッドでティーショットを放ち、首位タイに並ぶ貴重なバーディにつなげている。
それでも、まだ岸本は自分のプレーに確かな自信を持てていない。「関西シニアでも第1ラウンドで上位につけていたのに、第2ラウンドで崩れて…」と負の思い出が先に立つが、「試合経験も積んできて、この試合は普段通り気負わずにプレーできました」と、平常心の中で本来の力を発揮できた。「今の自分はティーショットがまっすぐに打てている。この広島カンツリー倶楽部・八本松コースは、素直なホールが多いので、フェアウェイキープが出来れば好スコアにつながると思います。ラフも長くはありませんし…そう考えると、今の自分には合っているコースなのかもしれません」そう仄かな自信を見せる岸本。時として、微かな自信を確信に変えて、ブレイクスルーを果たす競技者は多い。本大会が岸本にとって、そのきっかけになるか。明日のプレーに注目したい。
|