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競技報告
【豊島が7回目の挑戦で手にした優勝杯と確信】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
2位とは2打差の通算6アンダーパー。首位で迎えた最終ラウンドは、本選手権初出場の髙野隆と練習ラウンドも共にする先輩でもありディフェンディングチャンピオンの髙橋雅也との組合せとなった豊島豊は、終始、冷静だった。

3番でアプローチを寄せきれずボギーが先行するも、最初のバーディは難関の6番(パー3)で訪れた。ティーインググラウンドから見ると、グリーン左手前の池の上にホールが切られているかのように見える厳しいホールロケーション。髙橋雅也がティーショットを左に曲げて、あわや池に入るかというミスショットの後、豊島は「グリーン右側の木とピンの間を狙った」ショットが左に引っかかり、ピン方向に。ランディン
グした地点は、池にほど近いグリーン。「正直に言うと、あのショットはミスです。許容範囲内のミスですが…」というショットが、6メートルについた。この幸運をしっかりと活かしてバーディとすると、7番も奪って連続バーディ。「6番のバーディで、今日は優勝できるかと思いました。9番を終えるまでは…」と苦笑いの豊島が振り返る、その9番。ティーショットを左のバンカーに打ち込み、2打目はグリーン右手前の木に当たり、木と木の間に球が止まってしまった。アプローチもミスした豊島は、このホールでダブルボギーを叩いてしまう。それでも、豊島は落ち着いていた。「前半を終わって、自分と髙橋さん、髙野選手とは3打差あった。まだ大丈夫だろうと思えた」と2位とのストローク差をしっかりと把握する心の余裕が、後半のプレーに繋がる。

11番(パー3)はティーショットを左のバンカーに打ち込み、ボギーを喫する。多くの選手が難しいとぼやく12番(パー5)では、ディボッド跡からの3打目を右バンカーに打ち込むも、必死のパーセーブで2位以下との差をキープする。このパーセーブで「生き返った」豊島は、「最も苦手」という鬼門の14番(パー4)では、完璧な手ごたえの2打目を2メートルにつけて2日連続のバーディ。これで完全に流れを掴んだ豊島は、16番をボギーとしたものの、最終18番で8メートルを沈めてバーディフィニッシュ。この日、4バーディ・3ボギー・1ダブルボギーの73と1つスコアを落としたものの、通算5アンダーパーで見事に初タイトルを手中に収めた。

豊島が本選手権に出場するのは、今大会が7回目。「社会人競技ゴルファーとして、是が非でも勝ちたいと思っていた大会」と公言する豊島は、優勝杯を手にすると、「ようやく…ようやく勝てました」とこぼした。このタイトル獲得も楽に手に入れられたわけではない。「3日間でショットは一番悪かった」と言う通り、最終ラウンドのアイアンショットは、ハーフトップ気味の球や少しカミ気味のショットが散見された。しかも、「ラウンドの途中で、自分の上半身と下半身がバラバラになったスウィングになっていた」とバランスも保てない苦しいプレーの連続だった。でも、「今日のゴルフが自分本来のプレーだと思います。ショットメーカーではないし、飛距離で勝負するわけでもない。ショートゲームとパッティングでしっかりとチャンスをものにして、ピンチをしのぐ。そのようなゴルフが最後にできたことは、嬉しい」と、最後の最後に豊島自身が納得できるプレーをやりきって、悲願の初優勝にたどり着いた。

「競技はスコアを競う場だから。試合運びを常に考えてプレーしなければいけない」豊島が競技ゴルフを続けていく中で思考し行き着いた末の結論は、自分のプレースタイルの自信ともなっていたが、勝てない試合が続くにつれて、「そういう考えは、実は間違っているのかも」と、自問してしまうこともあったという。しかし、日本タイトルを争う緊張の連続の中で、最後までライバルとの差をしっかりと掴み、勝負所を逃さなかったこの日のラウンドで、その考え方が正解だったと確信に変わった。

自身のプレースタイルが自信から確信に昇華した今大会。7回目の挑戦の末に手に入れた優勝杯よりも、この確信は重いものかもしれない。


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