ベテランの藤田寛之がまたも勝負強さを見せつけた。第1ラウンドは前半の9ホールで5バーディを奪うロケットスタートを決めると、後半も1つスコアを伸ばし6アンダーパーをマーク。短期決戦ゆえに、各選手が攻めのプレーで前半からスコアを伸ばす中、しっかりと地に足をつけたプレーで上位を伺うと、第2ラウンドも出だしで2連続バーディ。直後の3番でダブルボギーを叩いたが、泰然自若に7番のバーディで1つスコアを伸ばして、最後の9ホールに臨む。これからが勝負所と読んだのか、藤田は10番から3連続バーディを含む4つのバーディで、通算11アンダーパーでホールアウト。
1組目でプレーした藤田は、「このスコアならプレー
オフの残れるんじゃないかと予想していた」と、全組がホールアウトするまで1時間ほどを体のケアにあててプレーオフに備えていた。
結果は、藤田の予想通り、通算11アンダーパーで3位タイに並んだ5名から3名を決めるプレーオフとなり、その1ホール目に2打目を2メートルにつけてバーディを奪った藤田が、最初に激戦を勝ち抜いた。「プレーオフは3回目ですね。きついですよ。いつもギリギリで」と、本選出場権を獲得しても、その表情はあまり晴れない。それも、「少しずつ数字に表れて良くはなってきていますが、まだ満足できる状態ではない」という自分のゴルフに対する厳しい目からだろう。
ベテランの藤田が、満足できる状態では無い中、1日36ホールの厳しい戦いを選ぶ理由は、「以前ほど、世界で自分がどこまでいけるのか?という気持ちではないですよ。世界の舞台を自分の肌で感じたい」から。「今は、常にメジャーに出場できる位置にいるわけではないので、チャレンジしたいステージで4日間プレーしたい」と、自分の立ち位置をしっかりと見定めながら練習を積んでいる姿も藤田の凄味。彼なら…という期待を持たせる努力の人が、チェンバーズベイで輝けるのか。
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