プロ転向以来、アジア、ヨーロッパを中心に積極的に海外ツアーを転戦し、現代の「渡り鳥」ともいえるゴルファー人生を歩んでいるのが川村昌弘。その川村が、通算12アンダーパーの2位で初の全米オープン本選出場を決めた。
川村は前半で7バーディ・ノーボギーの65をマークして2位タイグループにつけると、後半は最初の9ホールで1バーディと足踏み。後続組が続々とスコアを伸ばす中、戦々恐々のラウンドとなったが、ハーフターン直後の3番ホールでイーグルを奪い、波に乗る。4番、6番でもバーディを奪った川村は、本選通過を確実にしたかと思われたが、7番でピンチを迎える。2打目がバンカーのふちに止まり、ライはつま先上が
り。左サイドがOBで「グリーンを狙えなくて、自分が得意な100ヤードに刻んで。そこからのショットはピンにピッタリかと思ったんですが、思ったよりグリーンが固くなっていて、奥にいってしまいました」と、冷静なコースマネジメントが結果に繋がらず、パーパットは3メートルもオーバー。これをねじ込んで、どうにかボギーで切り抜け、「最後はバタバタでした」と苦笑い。それでも、最終9番でしっかりとバーディを奪ってみせたのは、川村の非凡さとヨーロッパ、オセアニア、日本を行き来する旅生活をいとわないタフさの表れだろう。
全米オープン最終予選は、3回目の挑戦で初の本選通過だが、「本当は、古い名門に行きたかったんです」と、笑いを誘う。「チェンバーズベイに実際に足を踏み入れて、自分の目で見ることが大事だと思う」と、スウィング同様に感覚派の面目躍如といったところか。
これまで、欧州とアジアを中心にプロ生活を積んできた川村だが、実はプロ転向後に競技出場のためにアメリカ本土に渡るのは初めてという。日本を代表する渡り鳥が、勇躍、太平洋を渡り、自身初のメジャーの舞台で、その大きな羽をはばたかせることが出来るだろうか。
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