雨―。吉本は「ボギーを叩かないように慎重にプレーしていこう」と自分に言い聞かせてスターティングホールに臨んだ。
ところが、その1番ホールで、いきなりボギーを叩いてしまう。8メートルのバーディパットを2メートル近くオーバーさせ、返しもはずしての3パットだった。雨の影響で、グリーンが重くなっているだろうと思い、強めにヒットしたのが誤算だった。
小さな躓きにも、焦りはなかった。先週プロを抑えて優勝したステップ・アップ・ツアーのトーナメントに引き続きショットは好調だ。それが心の支えと自信の裏付けになっている。ショットへの自信を深めたのは、ステップ・アップ・ツアーに出場する前だったという。
「漠然と打つのではなく、打ち出していくラインとターゲットをしっかり決めて、それに合わせてセットアップしてから打つことを心掛けるようになってから、ショットが安定してきたんです。それまでは、ラインもターゲットも、両方ともずれていました。その修正ができたことで、アドレスで不安なく、そのショットに集中できるようになりました」
好調なショットは、吉本のゴルフに余裕を与えている。
11番でも1番と同じパターンでボギーを叩いた。この他にも、第3ラウンドはスタート前の思いとは裏腹なボギーがあり、計4ボギーがあった。好調なショットは、ボギー数を上回る6バーディを生み出し、通算11アンダーパーと、ただひとり2桁アンダーパーに乗せた。
「ボギーが多くて、もったいないラウンドだったな…という思いと、アンダーパーだったのでほっとした…という気持ちが入り交ざっています」
吉本は、そう第3ラウンドのプレーを振り返った。
2打差のトップで迎える最終ラウンドは、どんなプレーをしようと思っているのだろう。吉本は、相手のゴルフよりも自分のプレーに集中していくことを意識しているようだ。こう語っている。
「好調な今は、最終ラウンドに追いかける展開よりも、リードしてマイペースでスコアを伸ばすゴルフをした方が優勝に近づけると思います。集中していけば、優勝できるかな…そんな気持ちです」
ステップ・アップ・ツアーと2週連続優勝に死角は見当たらない。
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