通算1アンダーパーの26位タイ。関東女子ゴルフ選手権を制した畑岡奈紗の昨日までの順位だ。JGA女子ナショナルチームの中心選手として活躍する畑岡にとって、ここまでの成績は、不本意なものに違いない。迎えたムービングデー。畑岡がスタートした直後に強くなった雨足を切って、畑岡のショットがきれいな放物線を描いてフェアウェイ、グリーンをとらえていく。
5番(パー5)で2メートルのバーディを決めたのを皮切りに、7番で1メートル、10番で6メートル、13番で2メートル、15、16、18番では1メートルのチャンスを悉くものにして、7バーディ・ノーボギーの65を叩きだして見せた。昨日までの鬱憤を晴らすかのよ
うな畑岡の会心のプレーに呼応したのか、いつしかグランディ那須白河ゴルフクラブに降り続いていた雨も止んでいた。畑岡は、一気に通算8アンダーパーにスコアを伸ばして、首位と3打差の4位タイに浮上。関東女子ゴルフ選手権で演じた逆転劇の再現の準備は整った。
この畑岡の快進撃を支えたのは、「大きな存在」という中嶋常幸プロだった。中嶋プロが主宰するアカデミーの一期生として師事を受けた畑岡は、第2ラウンドを終えて、中嶋プロから「トップでクラブがクロスする癖があるのを指摘されて。左手首を折らないようにと教えていただきました。そうすれば、ショットが安定すると」アドバイスを受けて、早速実践。
この日のビッグスコアにつなげた。ガース・ジョーンズJGAナショナルチームヘッドコーチも注目する潜在能力をたった一言で引き出した中島プロの眼力と、それをすぐに修正する畑岡の非凡さ。その両者が相まって、畑岡は初めての全国タイトル獲得に大きく近づいた。
畑岡が日本タイトルに最も近付いたのは、2014年の日本ジュニアゴルフ選手権。第2ラウンドを終えて2位に6打差をつけて迎えた最終ラウンド。しかし、その年のLPGAツアーで史上3人目のアマチュア優勝を史上最年少記録で成し遂げた勝みなみに、よもやの逆転を喫し、悔し涙を飲んだ。「あのときに勉強したことを、明日は活かしたい。
あの時は優勝争いも初めてで、日本一を決める大会だったので、慣れていなくてドキドキして何もできなかった」そのときの経験を、いい経験と振り返ることが出来るか否かは、明日の最終ラウンドにかかっている。勝みなみやLPGAステップ・アップ・ツアーで優勝している新垣比菜に代表される17歳、18歳はプラチナ世代ともいえる綺羅星揃い。
もちろん、畑岡もその一人だが、彼女たちと実績でも肩を並べたい。そして、今年9月にメキシコでの開催を控える世界女子アマチュアゴルフチーム選手権で勝と新垣が経験出来ていない世界一というタイトルに向かいたいところだ。
|