40名が出場し、4枠を争った今年の全米オープンゴルフ選手権最終予選。毎年、4人目を決める争いは過酷なプレーオフにもつれ込んでいたが、今年は、通算6アンダーパーで谷原秀人と宮里優作が3位タイに入り、あっけなく本選出場者が決定した。しかし、選手たちにとっては、厳しい争いだったことには変わりない。
谷原は、首を痛め、先週の関西オープンを欠場し、この最終予選に臨んだ。「レジェンドから首が痛くなって、1週間は全くクラブを握らなかった」という状態だったが、持ち味のショートゲームは衰えを知らなかった。第1ラウンドこそ、2アンダーパーの9位タイと出遅れたが、この躓きが、谷原の心に火をつける。「もう伸ばさないといけない順位だったので。第2ラウンドは前半で3つバーディを獲れたし、後半も落ち着いて1つでも2つでも伸ばせればと…」という目論み通り、5つスコアを伸ばして見せた。谷原にはこの最終予選で苦い思い出がある。2014年に奈良国際ゴルフ倶楽部が舞台となった最終予選では、最後の1枠を巡って6ホールのプレーオフを戦った末に、本選出場資格を逃した。「あの時のこともあったし、プレーオフには絶対に入りたくない」そんな気持ちも、第2ラウンドの好スコアに結びついた。全米オープンには初出場の谷原。「4つのメジャーの中で、1番難しいと思う」と、喜ぶまもなく表情を引き締める。「目標は無いけれど…予選は通りたい。予選通過しなければ、何も見えてこないから」と、夢の舞台での活躍を期する。
一方の宮里優作も第1ラウンドでは、「6バーディを奪ったのに…」4ボギー・1ダブルボギーと出入りの激しい内容でイーブンパー。第1ラウンドを終えた時点で4位には4打差をつけられてしまった。「ショットがバラバラ。でも、パッティングは良かったですよ。入りそうで外れていて…リズムは良かった」と、出遅れに腐ることなく、第2ラウンドに入ったのが奏功した。前半で3つスコアを伸ばして、上位に顔をのぞかせると、バックナインでは12番(パー5)でバーディ。17番では3メートルをねじ込み、4位タイに順位を上げて最終18番でも起死回生のバーディ。結局、この連続バーディが効いて、谷原とともに初の全米オープンの切符を手中に収めた。宮里は今年の目標に「4つのメジャーに出場すること」を挙げている。マスターズの出場は叶わなかったが、既に全英オープンの出場資格は得ている。全米プロへの出場は未定ながら、本人は「これで第1関門は突破です」と、破顔一笑。既に全米オープンには長兄の聖志、全米女子オープンには妹の藍も出場しており、これでUSGA主催のオープン選手権に宮里一家全員が出場する快挙となる。それも、宮里を喜ばせる要因だったのは間違いがない。
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