「疲れは、ありません。体調に問題はないと思います」
大阪学芸高校3年生の平岡瑠依(よしのCC)は、落ち着いて第1ラウンドの1番ティーインググラウンドに向かった。前週は、初めてのJLPGAツアー競技(ニチレイレディス)に出場し、ベストアマを獲得した。その夜のうちに大阪市泉区の自宅に戻り、翌月曜日に本選手権の舞台になる奈良国際ゴルフ倶楽部で練習ラウンドをこなした。第1ラウンドは第1組スタート。奈良市内に泊まって、午前7時のスタートを迎えたのだった。
「いけるかもしれない」と、吉兆を感じたのは、スタート前の練習グリーンでのこと。前日の練習ラウンドでは、パッティングにちょっと不安を抱いてい
たのだが、本番直前、早朝の練習グリーンでは、ストロークのタッチも合っていたし、ラインのイメージもすんなりと描ける。
スタートの1番(パー5)でバーディパットが決まった。平岡の頭の中にあった「いけるかもしれない」は「いける」に変わった。前半は5、8番でもバーディを奪って、ボギーなしの33。後半にターンしてからは、16番までパーが続き、17番で初のボギーを叩いたものの最終18番(パー5)を2オン2パットのバーディとして締めくくった。
5歳でクラブを握り、小学1年生で本格的にゴルフをはじめるようになった。さらに自身の中のゴルフ熱を高めてくれるできごとがあった。「小学3年生のときに、初めてプロのトーナメント観戦に連れて行ってもらったのですが、そのとき、父がファンだった不動裕理さんの組についてまわりました。“うまいなぁ…”と思わされるばかりでした。
ラウンド後に色紙にサインしていただきました。サラサラっと書いてくださった色紙を私に戻してくれるとき“ありがとう”って、ちゃんと私の目を見て言ってくださいました。これに感動して、“いつか自分も不動さんのようにファンに丁寧に接することができるプロになろう”って、夢を膨らませていったのを覚えています」
趣味は?と聞くと「寝ることと食べることです」と即答してきた。ハードスケジュールにも69と好発進した平岡のスタミナ源は、この趣味にあるようだ。
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