ドライバーショットが右に左に曲がり、行方が定まらない。第3ラウンドの新垣比菜(カヌチャG)は、前日までとは別人のようで、ちょっと苦しんでいた。
「ダグフックとプッシュアウトが交互に飛び出して、パーをとるのに精いっぱいといった内容になってしまいました。大変でした。久し振りの最終組でのプレーだったので、かなり緊張していたこともあるのですが、“あ、やっぱり、こういう日がきてしまったか”と、冷静に受け止めている自分もいました」
やっぱり…というのは、第2ラウンドに通算10アンダーパーまでスコアを伸ばした後で言っていたことだった。
「私は、4日間連続で好スコアを出したことがないんです。
理由はわかりませんが、どこかの1日は足踏みしてしまう。2日間67だったので、足踏みの日が明日になるのか、最終ラウンドになるのか。でも、そうなったときに焦らず、慌てずに受け止められるように心の準備はしておくつもりです」。
第3ラウンドの乱れ、足踏みは、そんなわけで“やっぱり”だったし、乱れた中で巡ってきたチャンスは確実にバーディに仕上げて4バーディ・3ボギーの71と、第3ラウンドもアンダーパーに踏みとどまることができたのは心の準備ができていたからに他ならない。11番(パー4)では第2打でグリーンを外したもののピンまで12ヤードほどのアプローチショットをチップイン・バーディに仕留めるシーンもあった。
新垣の独走態勢に待ったをかけてきたのは、沖縄の後輩・佐渡山理莉だった。二人は、新垣が中学生、佐渡山は小学生だったころから名護にあるアカデミーでともに練習してきた。以来、アカデミーの月例会はじめ、練習ラウンドで何度も一緒にプレーしている。食事にいくこともある。新垣は佐渡山を「リリ(理莉)」と呼び、佐渡山からは「比菜ねえね」と呼ばれ、慕われている。今大会前には「最終ラウンドに、同じ組で回ろうね」と、声を掛け合ってもいた。
希望が叶っての最終ラウンド最終組での沖縄対決となって…。
「楽しみです。リリとの直接対決と優勝争いを楽しみたいと思います」
今日、乱れたティーショットの調整をして最終ラウンドに臨む。新垣にとっては、これが最後の日本女子アマ。最高の思い出作りに舞台は整った。
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