JGAナショナルチームメンバーで東北福祉大学の先輩・後輩でもある比嘉一貴族(PGMゴルフリゾート沖縄)と金谷拓実(尾道)はそろって2オーバーパーでホールアウト。首位と8打差の41位タイと出遅れてしまった。
比嘉にとって「いつも通り、淡々と自分のゴルフでプレーすることの難しさ」を、つくづく実感した1日になった。ここ数年、常に優勝候補に挙げられ、事実、ランナーアップ、2位と、あと一歩というところで、勝利を逃している。だから、周囲からも、そして自分自身でも、今度こそ、今度こそという気持ちがある。今年は、QTを目指す比嘉にとっては、最後の日本アマになるであろう大会。どうしても欲しいタイトルを前に
、比嘉の心は、揺れ動く。
1番でいきなりボギー。いやな予感がした。2、3、4番とピンチが続く。そういうピンチのときの粘り腰に強いのも比嘉のゴルフである。いつもなら、そのあたりでピンチからチャンスに立て直してくる比嘉が、続く5番(パー3)でボギー。「いや、アドレナリンが出すぎているかな、と思って、(223ヤードを)4番から5番アイアンに持ち替えたんですけど、そうしたら手前のバンカーに入ってしまって」のボギーであった。さらに9番でもボギー。原因は、まずティーショットが決まらないことだった。「今日は、ティーショットでチャンスを逃していましたね」と言う。そして、せっかくフェアウェイに落としても「チャンスだからと無理な攻めになってしまう」悪循環が、この日の比嘉だった。
勝たなくては、期待されている、自分も期待している、プレッシャーを感じる……さまざまな心情が、収まりの付かないゴルフをさせてしまったのだ。「淡々とって、ほんとに難しいですね。いままで1打差だったり、惜しいところで勝てないでいたんで、なんとかその1打の無駄をなくそうと思って臨んだ第1ラウンドでしたけど……」と比嘉は反省する。でも「寄せて凌ぐ。粘って上位に食い込むのが僕らしいので……」と、自分に言い聞かせるように噛み締めて語っていた。
地元の選手で、一昨年の日本アマチャンピオン。昨年も3位タイと活躍している金谷も、ティーショットに苦しんだ。「ティーショットが、まったくダメでした」と、14ホール中、ラフに入れたホールが、なんと半分の7ホール。「これではスコアがつくれませんよね」とがっくりと肩を落とした。このコースは、第1打のフェアウェイキープが鉄則で、ラフに入れたらボギー、あるいはダブルボギーになりやすい。比嘉も金谷も、その術中にはまったということになる。1バーディ・3ボギー。チャンスをつくる場面が、ほとんどなかった。
「明日までに立て直すしかないですね」と言葉少なくコースを去っていった。
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