大澤和也(グリーンヒル瑞浪)が通算10アンダーパーで単独首位に立った。第1ラウンドを67、悪天候の影響で日没サスペンデッドの第2ラウンドは辛くも昨日の内にホールアウト。慌てず騒がずで着実にスコアを伸ばして68で通算9アンダーパーで首位となり、第3ラウンドは13時39分の最終組からスタートした。同じ組の通算8アンダーパースタートの久保田皓也(東北福祉大)が、76とスコアを落として6位タイ、通算7アンダーパースタートの片岡尚之(シェイクスピア)も74で3位タイと苦戦する中、大澤は「運がいい」を連発しながら、堂々の首位である。
「(バーディ)チャンスもないし、なんとかパーを獲るのが精一杯でした
。昨日までのラウンド以上にホールロケーションも難しかったですし。そうこうしているうちに、8、9番と連続ボギーだったんです」と振り返る。それでもがっくり落胆することはなかった。「しょうがないボギーだったんです」とあっさりと切り捨てた。そして「いつかバーディが来ると信じてハーフターンしたんです」。
“運がいい”という神様は、見捨てていなかった。12番でバーディ。すかさず13、15番とバーディをもぎ取って、この日1アンダーパー。通算10アンダーパーで首位の座を死守した。
けれども、決して“運がいい”だけのゴルフではない。大澤は、日大ゴルフ部の有望選手。そのアイアンショットの精度は、この大会でも冴え渡っている。その証拠に、この日もフェアウェイキープは、半分ほどで、それでもしっかりとパーを獲りスコアをまとめてこれる実力がある。性格は「寡黙で努力家」だとコーチが教えてくれた。そして難を言えば、パッティングだと付け加えた。面白いのが、そのパッティング。ショートしたことがなくオーバー目に打ってしまうのだ。つまりは、寡黙でありながら裡に秘めた闘争心は、もの凄く熱い。
中部地区ではジュニア時代から知らないゴルファーはいない。その愛知県から日大ゴルフ部の寮生活。それまでは自宅にいたので、家を離れた生活は初めてのことである。
寮にいるときは、早朝5時半起床。掃除をした後に朝練をする日常である。いま日大ゴルフ部の寮には51名の生徒がいる。集団生活の中でトレーニングや練習に励んでいるわけだ。飛距離も大学に入ってから15ヤードほど伸びたという。体幹トレーニングや下半身強化が、少しずつ功を奏しているのだろう。
前半で2ボギーのあとの後半の3バーディ。「ほんとに運がいいと思うんです。深いラフに入っても、打てる状況にボールがあったり、ラッキーに助けられました」焦らず、ふて腐らず、自分で自分のゲームを壊さず「いつかバーディがくるだろう。相手を気にしても意味がない。きっと自分のゴルフをしていれば、スコアが動くと思ってプレーしていました」と思いながらの気長な忍耐強さが、きっと大澤の大きな武器なのかもしれない。
最終ラウンドも、そんな大澤にゴルフの神様が微笑んで欲しい。
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