「今日は、勝ち負けというより“いいゴルフをしたいな”と思って、プレーに集中しました」優勝した堤姫乃(沖学園中学3年)の顔には、満足感があふれていた。
試合展開は、大接戦だった。首位でスタートした梶谷翼が1、2番で連続バーディの好スタートを切った。この先制パンチで前半9ホールを終えたところでは、堤は3打差に広げられていたのだが…。10番にターンして梶谷は連続ボギー。堤は11番で10メートルのパットを沈めるバーディ。これで一気に両選手が並んだ。
この後、13、16番と両者ともバーディで併走が続いた。17番で堤の第2打が2メートルのチャンスにつき、これを決めてついに単独トップに立った。と
ころが、当の堤には、この状況がはっきりとは認識できないでいた。
「どこで並んだのか、わからなかったんです。後半のバーディ合戦のような展開も“あれ、並んでいるのかな…、逆転しているのかな…といった感じで、自分のゴルフに集中していました」。
第1ラウンドに81を叩き、「2日間でカットはされたくない」という思いで迎えた第2ラウンドに67と大爆発して、最終ラウンドは「昨日のゴルフの調子が続いてくれることを願って“いいゴルフをしたい”と、そればかりでしたから」。最終ラウンドのゴルフ。「ドライバーショットもアイアンショットもいい手応えがあった」という。17番のバーディで単独トップに立ったときも、こんなことを考えていたという。
「あと、1ホール。せっかくいいゴルフができているのだから、最後まで気を抜かずにやりきろうという気持ちでした」
逆転優勝であることを知ったのは、クラブハウスに戻る途中だった。先輩選手から「勝ったよ」と教えられ、ようやく、そのことを知ったというのだ。18番、1メートルのパーパット(ウィニングパットだったのだが…)、アドレスに入る前に深呼吸して気持ちを落ち着かせ、“いいゴルフで締めくくりたい”とその思いだけで決め切った。
優勝と知って―。
「もう、本当にビックリでした。ありえないと思いました。うれしさがこみあげてきたのは、それからです。本当に優勝したんですね」
目標にしている選手はプロのイ・ボミだという。「あの安定したゴルフに憧れています」。第2ラウンドからのゴルフ、そして4バーディを奪った最終ラウンドバックナインのゴルフ。それは、目標にしているゴルフに一歩近づいたことを物語っている。
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