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本選手権初出場の鈴木千晴(法政大学1年)は、ホールアウト後に「昨日からスタート前は緊張しています」と心の裡を吐露した。その緊張が「この2日の良いプレーにつながっている」と分析する。第2ラウンドは10番ホールからティーオフした鈴木は、17番までパーを積み重ねる。その内容は、「アイアンショットも安定していて、8ホールで2.5メートル以内のバーディパットも3回…それぐらいありました」とチャンスがありながら決めきれないもどかしい展開に、地団駄を踏む気持ちだったろう。しかし、「この8ホールで集中力を切らさずに我慢できた」ことが、18番のスーパーショットを呼び込む。このホール、130ヤードの2打目を9番アイアンでピンを刺し、1メートルにつけて初バーディを奪った鈴木は「これで波に乗れて、後半に繋がりました」と笑顔を見せる。後半は1番で3パットのボギーを叩いたが、4番では100ヤードのセカンドショットをウェッジで1メートル、8番も同じ距離から50センチ、最終18番も3打目を1.5メートルに寄せて3つのバーディで連日の69をマークして、通算6アンダーパーで2位タイに2打差をつけて単独首位で明日の最終ラウンドを迎えることになった。
本選手権が開幕してから、四日市カンツリー倶楽部は30度を超える酷暑に見舞われ、ただでさえ集中が途切れそうなコンディションになっている。その中でも、最後まで集中を切らさない鈴木の姿は見事なものだ。「ショットに向かうまでは、あえてゴルフ以外のことを考えています。そのかわり、アドレスに入ったら、集中力を研ぎ澄まして。プレー中のオンとオフの使い分けが、うまく出来ていますし、初出場の緊張感も固くなるのではなく、良い緊張感を持続できていると思います」と強かさを感じさせる。
高校時代には日本タイトルとは無縁だった鈴木は、昨年の日本女子アマに初めて出場すると、2日目を終えて13位タイと好位置につけるプレーを見せていた。しかし、第3ラウンドに83と大きくスコアを崩したこともあり56位タイと下位に終わった。その時のことに触れ、「自分はスコアの波が大きいタイプなんです」と自嘲気味に話す鈴木だが、この2日間の安定感は、この1年での成長を感じさせるに十分だ。「明日パッティングが鍵を握ると思います。パー5で最低でも2つはスコアを伸ばしたい。明日もきっと緊張しますが、これまでのように良い緊張感にして、リズムを大切にしてプレーできれば…」に続く言葉は飲み込んだが、自信に溢れた笑顔の先に確信を感じさせた。
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