ホールアウトしてスコアカード提出所に向かう吉田優利の表情には、どこか吹っ切れた様子がうかがえた。実は、ちょっとモヤモヤを抱えての第2ラウンドだった。「昨日(第1日)の最終ホール(9番パー5)でボールがカップ寸前で止まってしまったんです。打ちきれなかったことが悔しかったのと、それを第2ラウンドに引きずるんじゃないかと心配でした」。
第2ラウンドは、1番ホールからスタートして、1、4番とボギーが先行した。やっぱり…というか、案の定というか。「特に4番でもったいないショートパットを外してしまって“なにを消極的になっているんだ”って自分に腹を立てました。本当は、気持ちを波立たせてはいけないんですけど
、我慢できませんでした」。
続く5番(パー4)。第2打はピンまで169ヤードの距離だった。手にしたのは5番アイアン。「普段は、ちょっと大きいぐらいなんです。それも奥にこぼしたくない状況でしたけど、ピンの根元に止めてやるぞ、という気持ちで攻めました。雨で止まりやすくなっているという感触もつかんでいたので、とにかく積極的にいきました」。結果はピン2メートルにぴたりと寄り、バーディパットもしっかりストロークした。決めた。さらに続く6番(パー5)では、冷静さを取り戻し、練習ラウンドから前日までの2オン狙いではなく、雨で飛距離が落ちる分、第2打では届かないと判断してレイアップ策で連続バーディを奪った。そして、前日悔しい思いをした9番(パー5)もバーディ奪取でリベンジを果たした。
後半にターンしても2バーディ・2ボギー。計5個のバーディで71をマークし、通算イーブンパーとして2位に浮上した。
今年のオフは、海外の試合に多く出場した。USLPGAツアーのオーストラリア女子オープンでは、初めての同ツアー競技参戦でローアマチュアとなった。それよりも、さらに大きなモノを手に入れもした。それは、ドライビングレンジで同ツアーの選手たちと並んでボールを打てたことだった。「たまたま、私の隣の打席にいた選手のスウィングスピードが素晴らしく速かったんです。名前は知りませんでしたが、後で聞いたら世界ランクのトップ10にいる選手だということでした。“あのくらいのスピードで振れないと、世界には出ていけないのか”と、感じさせられました」。
日本に戻ってからは、ドライバーやタオル、スウィングスティックなどを、とにかくビュンビュン速く振る練習を続けたという。「おかげで40m/秒だった自分のヘッドスピードが42m/秒ぐらいまでアップし、ドライバーで10ヤード以上飛ばせるようになりました」。
第3ラウンドからも、安全策だけではなく、攻めるところは勇気をもって攻める。そのメリハリをもったゴルフで戦っていくと語った。
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