スタート前のドライビングレンジ。安田は、ちょっと諦め顔で練習を切り上げた。「まっすぐに狙ったところに打てる気がしないんです」。
修正しきれないまま、スタート時間がきた。1番、第1打は左の林に向かって飛んでいった。「やっぱり、というか、案の定というか。いきなり林の中からのスタートですからね」。ボギー発進であった。でも、安心したところもあった。無心で狙ったところに打つつもりでスウィングする。安田にとって、同じ曲がるにしても右か左かには、大きな違いがある。「右に曲がる日は、修正しようとすると左にも曲がるようになって、それこそバラバラの状態に陥る危険性があるんです。左に曲がるのなら、修正にそれほど時
間を要さないという自信があります」
ボギースタートでも慌てることがなかった理由は、そこにあった。
6番バーディ、8番ボギーで、この日1オーバーパーでターンしたバックナイン。安田のドライバーショットは、全てフェアウェイをとらえた。まさに修正完了という状態で安定したプレーを続けた。その中で、ホールロケーションに仕掛けられたワナも見逃していなかった。「マウンドの上とか、奥に(ピンが)立っているホールが多かったですね。いかにも“攻めてこい”といっているような場所です。それに乗ったら、ピンチを招くことになる。だから、手堅くいくようにしました」。
ドライバーショットの調子が戻ったというのに、後半9ホールでのバーディは14番(パー5)の1ホールだけで、あとは全てパーという内容は、「うまくワナを避けられた結果だと思います」と安田は自身のプレーをこれまた冷静に分析していた。「内容と結果が合っている」とも口にした。
最終ラウンド、優勝スコアは「1アンダーパーか2アンダーパーではないでしょうか。爆発的なスコアが出るコースじゃありませんから」という福田は、明日も復調したドライバーショットでフェアウェイをとらえ、グリーンセンターに乗せていくという手堅いゴルフで臨もうとしている。
|