「ドライバーショットが荒れていて、なかなか修正できませんでした。スコアを崩さなくてよかった。そんな感じです」
吉田優利は、第3ラウンドの自身のプレーをそう振り返った。スウィング矯正をしたのは、大会直前だった。芝の上からボールを打ち続けているうちに、だんだんカット気味にクラブヘッドがボールの上から向かうようになり、イメージしている距離が出なくなっていたというのだ。そこで、入射角を緩やかにしてスクウェアにヒットできるようにしたのが矯正のポイントだった。
1番のバーディでトップに並んだものの、スウィングの違和感はずっと続き、「今日は、攻めのゴルフではなく、堅実なゴルフをしていかざるを得ないな
」と、基本戦略も、そこにもっていった。2バーディ・2ボギーという第3ラウンドの内容は、その戦略がもたらした安定したスコアであった。無理をせず、手前から。花道から寄せてのパーセーブというホールも少なくなかった。
ラウンド中に気をつけていたことが、ふたつあった。ひとつは、スウィング面で、あれこれ考えすぎないこと。大会前にコーチから「試合になったら、ラウンド中にススウィングのことを考えるのはひとつだけにしろ。それ以上は、やりようがないし混乱をまねくだけだ」と助言されていた。もうひとつは、呼吸法である。重心を下げていくように意識して腹式呼吸を繰り返した。これは、ヨネックスレディスに出場したとき、「打つのが怖くなって、アドレスしたまま固まってしまったことがあって、そのときの経験からいつでも動ける態勢をとりたいと思って始めました」という。
中学1年生のときから日本女子アマに出場してきた。ことし高校3年生。「ずっと1度は優勝したいと思ってきて、ラストチャンスになってしまいました」。そのラストチャンス。最終ラウンドを首位で迎え、最終組でラウンドすることになった。「勢い込まず、今、自分にできることを精一杯やる。それだけだと思います」。
このシンプルな思考は、勝負強さをうかがわせる。あと1日である。
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