ゴルフは、1打でガラリと変わることがある。「この大会前からずっと調子が悪くて、練習しても修正できない状態が続いていたんです」という山下美夢有は、第1ラウンドも73と、ちょっと苦しんでいた。「ダウンスウィングからインパクトに向かってクラブヘッドがちょっと下から入るようになってしまって、あおるような打ち方になることが多いんです。バックスウィングをアップライトにしてみたり、ダウンスウィングで左肩の引き下ろしを強めたり…といった調整を続けてきたのですが、それでも修正できないまま大会を迎えてしまいました」。
それが、第2ラウンドの2番(パー4)の1打を機にガラリと変わることになる。ドライバーショットで
ピンまで104ヤードの地点に打ち出した後の第2打である。手にしたのは48度のウェッジだった。このクラブでは、無風状態でちょうど100ヤードを狙い打ちできるという。「104ヤードでしたが、ちょっと追い風ということもあって、48度でぴったりだと思いました」。そのショット。狙い通りに飛んで、ピン手前に落下したボールは、そのままカップに吸い込まれた。このイーグル奪取が、これまで64のベストスコアをマークしたことがあるという山下の爆発力を覚醒させた。
7番からの3連続バーディには「もしかするとベストスコアを更新できるかも」とビッグスコアを意識させることになり、後半は1バーディ・1ボギーに終わったが31位タイから7位タイへと大幅にランクアップした。迎える最終ラウンド。山下は、こんな思いで最終組から3組前の1番ティーに臨むという。「完全に修復できたわけじゃないので、どうなるかわかりませんが、少なくとも気持ちの良いラウンドにしたいし、それができるような気もしています。不安よりも期待の方が大きいです」
イーグル奪取の1打の効果は、明日の最終ラウンドも続きそうだ。
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