あふれる涙はとどまることはなかった。苦しい勝利だった。2位に6打差をつけてスタートした高久ゆうなは、朝から練習場で「ショットの調子が悪い」ことに気づき、実際にスタート後も「ショットが安定せず、パーオンできずに寄せワン」でしのぐゴルフが続いた。腰の状態も思わしくなく、痛みをこらえながらのプレーに加え、優勝のプレッシャーが彼女に襲い掛かる。「体が思うように動かなかった。周りの人がショットを曲げていないのを見て動揺しないように、自分のプレーに」集中しようとした。
彼女は1、4番をボギーとし、前半は2オーバーパー38でターン。この時点で2位の星川ひなのとは4打差にリードが縮まっていた。10番は両
者ボギーで差は変わらず、13番で高久がボギーを叩き、ついに3打差まで迫られた。6打差のリードがあると、かえって優勝するのは難しいことがある。周囲は勝って当然と思い、本人も勝たなければいけない、と追い込まれてしまう。かつてマスターズではグレッグ・ノーマンが最終ラウンドに6打のリードを守ることができず、ニック・ファルドに逆転負けを喫したこともある。彼女にとって、ここが一番苦しい時だったろう。その後は15番で両者バーディを奪い、譲らず。17番で星川がボギーとして差は「4」に開いた。
これでほぼ優勝は決まったようなものだったが、高久は18番ホールのティーショットをOBに。結局このホールをトリプルボギーにし、結果的には2位に1打差の勝利だった。
前日の夜から「食事をとることができず、朝も食べられなかったんですけど、食べなきゃいけないと思って」少しでも取るようにした。「あまり寝られなかった」と緊張しっぱなしだった。それだけに、その重圧から解放されると、涙は止まらなかった。「1年のときから狙っていた」タイトルをついに手にすることができた。「すごいうれしい」と喜びもひとしおだ。
会場には両親と姉のあずさもかけつけた。この勝利で来年のプロテストは最終から受けることができる。姉のあずさと共に次は「プロテスト合格」を目指す。
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