10番ホールからのスタートだった岩井明愛は、パッティングの調子を確認しながら、静かに滑り出していった。午前7時のトップスタートである。午前4時20分に起床してコース入りした。「早起きには慣れてはいますが、なかなか頭がすっきりしなくて、どうしてもいきなりエンジン全開というわけにはいきません」。
5ホールを全てパーで消化したあたりで、グリーンのスピードとボールの転がり、タッチが合ってきた。立ち上がりが慎重なのは岩井のパターンでもある。そして、タッチが合ってくると、パッティングが決まり出す、というのもまた岩井のパターンだ。
15番で最初のバーディが決まった。なんと8メートルの距離を沈めたもの
だった。17番では4メートルを沈めた。さらに18番では、実に10メートルの距離を一発でカップインさせた。
「自分は、インパクトでヒットするのではなく、距離と転がりのスピードによってストロークの幅を決め、その幅を同じスピードのままストロークするタイプのパッティングです。転がりはいい方だと思います。ラインに乗り出したら、どんどんカップインを狙っていけます」。この岩井のスタイルは、後半でも5番(4メートル)、8番(3メートル)の1パットを生んでいた。唯一のミスは7番ホールだった。2メートルのパーパットを外したのが、それである。
中学3年生だった一昨年、埼玉栄高1年生だった昨年は、本選手権への出場を果たせなかった。それもあって出場が決まった今年は、トップ10入りを目標にしているという。「せっかく好スタートが切れたのだから、行けるところまで行ってみようという気持ちもありますけど、ガツガツせずに第1ラウンドのようなゴルフを続けるようにします」。
第2ラウンドは、スタート前の調整時間がたっぷりある。いきなり長い距離のパッティングが次々に決まるような流れも考えられる。いや、そんなシーンを続けて見てみたい気持ちにさせられる。
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