昨年の日本女子オープンゴルフ選手権でローアマチュアとなった実力者の後藤未有が、本選手権では実に楽しそうにプレーしている。実は、日本女子オープンの後、調子を崩し、高校卒業後も「調子が悪いままで上昇できず、アンダーパーを出せるゴルフではないまま時間が経過していました」という。
「ちょっと試合から離れてしまったので、モチベーションも下がりっぱなしでした。こんなことでどうするんだ、と自分を叱咤激励すれば、それが逆に自分を追い込んでしまって、ますますゴルフを楽しめなくなるという悪循環にもはまりました」。
コーチに言われた。「そんなに結果ばかり追いかけずに、楽な気持ちでプレーしていった方がいい
。ジュニア時代に、ゴルフを心から楽しいと思った時があっただろう。そこに戻って、ミスショットしても、それですべてが決まるわけではない。“ま、いいか”と、さらっと通過させて、次の1打に向かっていく。ゴルフの楽しさを思い出せ」。
そのとおりだった。ゴルフができる幸せ。喜び。原点回帰で、どんなことも受け入れる。後藤のプレーぶりに変化が現れたのは、この1か月ほど。「“ま、いいか”のゴルフをするようになったら、本当にまたゴルフが楽しくなったんです。楽しくて仕方がないぐらいです」。
ショットがピタリとピンにつけば「楽しい!」
パー5ホールで2オンさせれば「楽しい!」
長いパットが決まれば「楽しい!」
うまくいったときだけではない。6バーディを奪って通算10アンダーパーまでスコアを伸ばして迎えた17番(パー5)。第2打でグリーンを狙った。ボールは、残念ながら池に消えた。「狙ったんだから、リスクもある。ま、いいか」と軽い調子で受け入れ、ドロップしての第4打を寄せて、パーでしのいだ。「楽しい!」である。
結局、ノーボギーでこの日のプレーを終えた。今週から元に戻したパターも、不思議なことに決まってくれるようになっていた。ゴルフを楽しむという持ち主の気持ちが乗り移ったかのように、気持ちよくボールをカップに落とし込んでくれる。第1ラウンドの68は、久しぶりの60台。そこを通過したら第2ラウンドには66のビッグスコアが待っていた。第3ラウンドの予報は雨。今の後藤なら、悪天候さえも楽しめるのではなかろうか。実力者が、復活した。
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