思ってもいなかった取りこぼしだった。小倉彩愛の3番グリーンである。わずか80センチのパーパットを外してしまった。これが第3ラウンドの小倉を最後まで苦しませることになった。本選手権に入って、ショットはずっと好調で、この日も再三バーディチャンスを作り出してはいたのだが、決まったのは半分以下の3ホールだけだった。フラストレーションのたまる1日で、距離の長い14番(パー4)ではティーショットをラフに曲げてのボギーもあり、「こういう日なのかな…と割り切るしかありませんでした」。
ちょっとした誤算もあった。スタート前から雨。小倉は、考えていた。「この天候では、みんなスコアを大きく伸ばせないだろうな。
差を広げなければ、最終ラウンドの勝負に持ち込めるだろう…って、勝手に決めてしまっていました。だから、アンダーパー(71)なら、まあ、狙い通りの結果だと思ってホールアウトしました」。
実際は、和久井麻由と西郷がともに69をマークしていた。たしかに上位陣にビッグスコアは生まれなかったが、それでもスタート時の3打差は5打差に広がっていた。
第3ラウンドに同組となった尾関彩愛は、岡山の同県人で、アマチュア競技会での練習ラウンドもよく一緒にプレーしている。「彩愛ちゃんは、3歳下の妹みたいな感じで、可愛いんです」。この日もラウンド中にときどき並ぶようにして会話をかわしていた。「それも楽しくて、頭の中からときどき日本女子アマだということが離れてしまった瞬間がありました。可愛い妹に、いいところをみせてやろう、なんて柄にもないことを考えたりもして、なんかスコアメイクに集中できない状況を自分で作ってしまったのかもしれません。でも、楽しい1日でした。それは、間違いありません」。
最終ラウンドへの思いもまた、別のところにある。「これが、最後の日本女子アマですから、悔いが残らないプレーをして終わりたいです。はい、攻めのゴルフに徹して、ビッグスコアを目指します。ボギーを叩かず、バーディを積み上げる展開で、第2ラウンドの65を上回るようなゴルフをしたいと思っています」。
小倉にとっては、いろいろあった第3ラウンド。それも終わって、最後の1日を残すだけ。秋にはプロテストが控えている。ビッグスコアでビッグタイトルを手に日本女子アマを卒業することができるか。
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