「最終ラウンドは、尊敬する結さん(河本結)のように勇気を持って攻め続けます」。
トップの座を守ってホールアウトした第3ラウンド、和久井は最終ラウンドに向けてそんな話をしていた。「ゴルフだけではなく、何かというと守りに入ってしまうタイプなので、それを変えたくて…」。
攻めのゴルフは、ちょっと空回りして始まった。緊張は、力みにつながり、攻めたショットは、曲がった。ラフに打ち込んでの連続ボギーという昨日同様のスタートになってしまった。しかし…。「こういう時こそ、強気の姿勢を貫くことが、これからの自分のためになるんだ、と自分を奮い立たせていきました」
不安だったというドライバーショットだ
ったが、ボールに合わせていくのではなく、フルスウィングを続けた。すると、逆に曲がらなくなって4、5番と連続バーディ奪取を果たして、スタートの連続ボギーを帳消しにできた。
立ち直った和久井が悔やんだのは12番(パー3)だった。ティーショットをピン奥2メートルにつけたのに、このチャンスを決め切れなかったことである。思ったように手が動かなかった。終わってみれば、最終組対決となった西郷に2打差の2位タイ。悔しさは隠しようもなかったが、それでも冷静に最終ラウンドの自身を振り返った。
「これからの自分のことを考えれば、本当にいい経験ができたと思います。日本女子アマみたいな大きな大会で、最終ラウンドの最終組でプレーできたこと。そういう中で、自分がどんな状態になるのか。それが、よくわかりました。極限に近い緊張の中で、それを自分の中でどう整理しなければならないのか。こういう機会でなければ知りえないことが、たくさんありました。おかげで、自分への課題もたくさん見つけることができました。それらを克服、クリアしていくことが、これからの自分にどれほどのプラスをもたらしてくれるのか。日本女子アマは、自分にとって、そういう試合でした」。
自滅して完全優勝を逃したわけではない。崩れたわけでもない。パープレーにまとめはしたが、それよりも上の選手がいたということ。「だから、落ち込まずに、前を向きます」。
敗戦の中にこそ、得るものが多くある。和久井のこれからが逆に楽しみになった。
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