西郷は、インタビュー中に何度も咳き込んだ。2週間ほど前にひいた風邪が抜けきらないのだという。「ノドをやられてしまって、熱は治まったんですが、咳に苦しめられています」。
そんな中でも、昨年、目の前で見たシーンを忘れてはいない。麗澤高校の1学年上だった吉田優利が優勝を決めた瞬間である。日本女子アマに続いて、日本ジュニアも制し、ダブルタイトルを獲得した。「絶対に勝つ、という強い意志と、ゆるぎない自信をあのシーンで見せてもらいました自分も先輩に続きたい。それも強く思いました」。
第1ラウンドの残りホールを終えて1アンダーパーの72だった西郷は、次の第2ラウンドまでのインターバルで休養を心が
ける選手が多い中、それが当然といった感じでドライビングレンジに向かった。方向の定まらない風の日のプレー。その中で弾道を低めに抑えた“ライン出し”と呼ばれるショットを繰り返した。第2ラウンドは、このショットを多用しようという狙いであった。5番(パー4)でピンまで145ヤードの第2打。8番アイアンの距離なのだが、西郷は7番アイアンを手にして、ライン出しショットを決めた。左サイドからの逆風に負けることなく、流されることもなく、ピン手前2メートルについた。
ショットは冴えたが、パットでは苦しんだ。咳き込むと息が乱れる。呼吸を整えることは、パッティングを決めるための重要な要素である。呼吸の乱れが、西郷の集中力を削ぐ。7番(パー3)の3パットが、それを象徴していた。
首位とは3打差。「今日は、早めに寝て、体調回復をはかります」。その上で、逆転でのダブルタイトル達成を狙う。
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