こみあげてくる笑いを抑えることは、できなかった。148センチと小柄な手塚が、コースでは大きく見えた。ショットが冴える。3番(パー5)で40ヤードの第3打を58度のサンドウェッジで1メートルにつけたのが、最初のバーディだった。5番を3パットのボギーにしたものの、続く6番(パー5)で、第3打をまたもや1メートルに寄せてバウンスバックすると、8番では170ヤードの第2打を5番ユーティリティで2メートルに乗せて、前半9ホールを34でバックナインに折り返した。
コースは、大型台風10号の影響でゲリラ豪雨に襲われ、3度の中断を余儀なくされた。手塚は、「中断のときはクラブハウスで待機していたり、再開し
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て、また雨に見舞われたときは、ちょっと傘をさしていましたけど、打つときになると、その瞬間だけやんでくれて、ついているな…って、感じでした。で、いいショットを沢山打てたし、パットも決まってくれて、本当に楽しかった。“なんで、こんなにバーディをとれるんだろう”って、ウキウキしながらラウンドしていました」
バックナインでも4バーディ(1ボギー)を奪って、スコアは68。ホールアウトして「やった!自己ベスト更新だ」と、また新たな喜びに包まれていた。これまでのベストは4アンダーパーの68。パー72でのスコアだ。今大会はパー73に設定されているので5アンダーパーになるので自己ベストスコアを更新したことになる。
好発進の原動力となった正確なショットの裏には、こんな話がある。小学1年生で両親に連れていってもらった練習場。それが、ゴルフを始めるきっかけだったというが、この練習場には120ヤードと140ヤードとふたつのグリーンが設けられていたという。
「ちょっとボールが打てるようになってからですけど、9番アイアン1本だけ持って、120ヤードのグリーンを狙って打つのが楽しくなりました。まだグリーンまでは届かないんですけど、ピン方向に飛んでいくと“おっ”なんて思ったりして…。何年かすると、グリーンに届くようになりました。それで今度は8番アイアンで140ヤードのグリーンを狙う練習も加えるようになりました。この練習は、私にとっての基本で、その後もずっと続けています。おかげでショートアイアンが好きになりました。中でも8、9番アイアンは得意なクラブになっています」。
バックナインで奪った4バーディのうち3つまでが、この8、9番アイアンでのショットが作り出したチャンスを決めたものであった。
パッティングで心がけているのは「ショートをしないことです」。強気なストロークが身上だ。時に打ちすぎて、この日の4番ホールのような3パットもあるが、「攻めた結果ですから、あまりダメージは感じません。まぁ、しようがない。そんな感じで気持ちを切り替えられます」。それより、決まり出すと、乗っていくタイプでビッグスコアを叩き出す。中学2年生。そういえば、昨年大会の12歳―14歳の部を制した森愉生も当時中学2年生だった。果たして2年連続で中学2年生のチャンピオンが誕生するのだろうか。
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