水野進一は、前半は拾いまくった。アプローチの「寄せワン」は5回。1~2メートルのパーパットをことごとく入れ、13パットで回った。前半は2オーバーパーの38だった。練習ラウンドでは硬くて速いグリーンに手を焼き、5番アイアンを抜き、代わりにユーティリティの4番と5番を入れた。高い球を打たないとグリーンに止まらないと判断したのが良かった。後半も1バーディ・3ボギーでまとめ、4オーバーパーで首位タイに並んだ。
昨年の8月に腰のヘルニアの手術をした。10月にはゴルフができるようになり、日本ミッドシニアに出場した。今年本選手権に初出場を果たしたが、腰が治ったと思ったら、今度は手首を痛め、今も湿布をしてプレーをしている。「この齢になると、あっちこっちね」と笑う。満身創痍ではあるが元気だ。
同じ関西地区の蔡秋明と並んで首位タイと聞いて、「関西グランドシニアでも最終ラウンドに一緒に回ったんですよ」と第一声。そのときは2人とも優勝は逃したが、蔡が73、水野が74で回り、蔡に軍配が上がった。今度はそのリベンジをと話を向けると、「いやぁ、そんなぁ」と煙に巻く。「でも一緒に回れるのは嬉しい。楽しめたら」と心を弾ませていた。
勿論、相手は一人ではない。3打差に18人がひしめく大混戦だけに誰が抜け出してくるか、わからない。逆に言えば、誰にでも優勝のチャンスがある。そのいちばん近い距離にいる一人が水野だ。第1ラウンドのように粘り強いプレーができれば夢ではない。
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