ホールアウトしてから30~40分は待っただろうか。上木政章は通算11オーバーパーでフィニッシュし、後続組の結果を待っていた。最終組の蔡秋明が通算10オーバーパー、小島朋広が通算11オーバーパーで最終18番ホールを迎えた。2打差で首位に立っていた蔡は第2打を池に入れてしまい、ダブルボギー。小島もパーをセーブできず、上木の初優勝が決まった。表彰式の間も「実感はわかなかった」。
首位と3打差でのスタート。「73か74で回れば勝てるかも」と思っていた。3番ボギーのあと4番でバーディ。ここまでは、自分でもまずまずのプレーができていた。だが、8番ホールから3連続ボギー。18番は第2打でグリーン右ラフに外し、アプローチも寄らず、パーを逃すどころか2メートルのボギーパットが残った。これをねじ込み、なんとかこの日は76で回った。「勝てると思っていなかった」が、その後上位選手が次々とスコアを落としたのだった。上木はこの2日間でバンカーに入れたのはたったの1回だけ。「バンカーに入れると難しい。ボールが目玉になりやすい。だからバンカーに入れないように」気をつけた。他の選手が距離を欲しがってバンカーに入れて苦労しているのを横目に、自分はバンカーに入らないようにレイアップするコースマネジメントが生きた。
今年72歳の上木は、本選手権初出場で栄光の座を勝ち取った。これまで日本アマ、日本ミッドアマ、日本シニアオープン、日本シニア、日本ミッドシニアなど「日本タイトル」に挑戦すること15回。16回目でついに日本タイトルを獲得した。これからは日本シニアや日本ミッドシニアを目標に、さらに精進する。
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